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【まめ知識】でん粉のいろいろ 〜特性を知ると、料理の幅が広がります〜

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最終更新日:2017年11月1日

 でん粉は、穀類、いも類の他、葛・ワラビなどの植物や、サゴヤシという樹木の幹を原料に作られます。いずれも色や粉の質感はよく似ていますが、その性質は「似て非なるもの」なのです。
 そこで、一般に見かける(1)コーンスターチ(2)ばれいしょでん粉(片栗粉)(3)かんしょでん粉の性質について、簡単な実験を交えて紹介します。
 

加熱による違い

 でん粉を水に溶かし、かき混ぜながら加熱していくと、次第に粘性のある液体へと変化します。この現象を糊化(こか)と呼びます。おおよそ60度を境に糊化が始まるといわれていますが、粘りの強さは種類によって異なります。
 写真1〜3は、でん粉に65度のお湯を注ぎ、よくかき混ぜ、スプーンですくい上げた状態を写したものです。コーンスターチは(写真1)水のようにさらさらで、白濁の液体のままです。ばれいしょでん粉は(写真2)透明になり、スプーンに吸い付くような強い粘りが現れます。かんしょでん粉は(写真3)白濁しているものの、ソースのようなとろみが付きます。
 このような特徴の違いから、ばれいしょでん粉はとろみが早く付き、食材の色彩を損なわないので、中華料理などに向きます。コーンスターチやかんしょでん粉は適度な粘性を生かして、焼き菓子のつなぎとして利用されます。原材料の小麦粉の一部をコーンスターチに置き換えて使うと、軽い食感が得られます。
 

加熱

冷却による違い

 糊化したでん粉をそのまま冷やすと、徐々に粘性が失われ、結晶化が始まります。この現象を老化と呼びます。老化が進行すると、ゲル状になりますが、種類によって固まり方に差があります。
 写真4〜6は、糊化したでん粉を冷蔵庫で冷やし、カップ型から取り出した直後の状態を写したものです。コーンスターチはきれいに固まり、ばれいしょでん粉は形状が大きく崩れ、かんしょでん粉はやや形を保ったまま固まっていることが分かります。
 

いろいろ2

レシピ

 このような特徴の違いがさまざまな食品に生かされており、例えば、コーンスターチはブランマンジェなど冷やし固めるお菓子に利用され、かんしょでん粉は半透明に固まるため、涼を演出する葛きりやわらび餅などに利用されます。ばれいしょでん粉はゲルを形成するときに得られる独特な食感を利用して、春雨などの麺類に利用されています。
 
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