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【第一線から】顧客の声を豚肉作りに 〜岡山JA畜産とおかやまコープの連携〜

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最終更新日:2018年3月7日

地図

 岡山JA畜産株式会社(岡山JA畜産)では、豚肉の販売者である生活協同組合おかやまコープ(おかやまコープ)との連携により、岡山県南西部の井原市美星町(いばらしびせいちょう)にある農場で高い割合で飼料用米を餌として与えているブランド豚「コープおかやま豚とん」を生産しています。今回はそこで目指すもの、取り組みを紹介します。
 農林水産省畜産統計によると、岡山県における豚の飼養戸数は20戸、1戸当たりの飼養頭数は1860頭(平成29年2月時点)となっています。この数値を10年前と比べると、戸数は半減したものの、飼養頭数は1.7倍に増加しており、経営の規模が大きくなっていることがわかります。

飼料用米を利用する意義

 養豚経営における生産費の6割以上は、必要な栄養を混ぜ合わせた配合飼料を中心とした餌代(飼料費)が占めています。配合飼料の原料であるトウモロコシは主に輸入に依存し、その価格は原料の海外相場や為替変動などの影響を大きく受けます。このため、近年では、トウモロコシの代替として国産の飼料用米を配合する取り組みもあります。
 岡山JA畜産における飼料用米の利用は、県内あるいは中国・四国地域で生産される玄米を配合飼料中のトウモロコシの代わりとして豚に与え、その豚肉を平成23年度からおかやまコープで販売したことに始まります。
 飼料用米を利用することは、岡山県全域での耕畜連携や地産地消、循環型農業の推進と食料自給率の向上につながります。現在、岡山JA畜産では、主要農場である美星農場の年間出荷頭数の7割ほどに当たる約7500頭の豚に飼料用米を含む餌を与えています。一般的に、配合飼料は、豚の成長過程にあわせて必要な栄養素を調製し、内容を変えています。コープおかやま豚の場合、子豚が離乳してから出荷されるまでの間を前期・後期に分けて、飼料用米を混ぜた2種類の配合飼料を与えています。平成29年には年間約1400tの飼料用米が豚に与えられました。

美星牧場豚

美星牧場全景

組合員の評価で飼料用米の割合を5割に

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 特筆すべきは、コープおかやま豚に使用する配合飼料に占める飼料用米の割合です。265名のおかやまコープ組合員による食味試験において、配合飼料と飼料用米の混合割合で豚肉の味は変わらないとの意見が大部分を占めました。また、一部でおいしくなったという意見もあったことから平成27年には20%程度だった飼料用米の割合を、平成28年秋には50%に引き上げています。実際に購入している組合員による試験結果を用いることで、リピートして購入される豚肉を生産し、安定した販売も可能としました。

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理由があるからこそ支持される商品

 岡山JA畜産は、コープおかやま豚をおかやまコープでのみ販売することで商品の差別化を図っています。また、おかやまコープは、組合員に量販店との販売価格差を理解してもらうため、組合員向けの冊子により飼料や品種、生産者などコープおかやま豚のこだわり(※)を詳細に説明しています。さらに、美星農場の豚舎見学や産地交流会、農業体験実習といった参加型企画の運営を行うことで、組合員に生産者の大変さや熱い思いを肌で感じてもらうとともに、食肉となる豚の飼育方法をより深く理解してもらう機会を定期的に提供しています。
 こうした機会を通じ、組合員がコープおかやま豚の価格に納得し、コープおかやま豚を支持することで、安定的な豚肉の供給につながっています。岡山JA畜産とおかやまコープの連携は、販売者が架け橋となることで消費者が日頃から口にするものの生産過程を目で見て体感でき、理解し、安心感のある「食べること」の実現を目指しています。

パンフ

コープ豚

(畜産経営対策部)
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