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〜「テレワークごはん」で新しい生活リズムを〜

【寄稿】新しい生活様式の悩みを解消する食習慣
〜「テレワークごはん」で新しい生活リズムを〜

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最終更新日:2021年12月1日

女子栄養大学クリニック 管理栄養士 春日千加子

コロナ禍の体調不良は「食生活の変化」が原因かも?

 長引くコロナ禍の中、これまでの外出自粛やテレワーク推奨により、多くの人の在宅時間が増えました。生活に変化が現れたことで、体調にも変化を感じている人も多いのではないでしょうか。農林水産省「食育に関する意識調査」(令和3年3月/20歳以上男女5000人対象)によると、食生活の変化について新型コロナの拡大前に比べて「増えた・広がった」と答えた人の割合が最も高いのは、「自宅で食事を食べる回数」35.5%でした(図)。当然の結果といえますが、一方で「規則正しい食生活リズム」については9.3%、「栄養バランスのとれた食事」が12.8%と意外と少ない結果でした。
 当クリニック外来では、栄養相談の中で患者さんから様々な声が聞こえてきます。去年の初めの頃は、「テレワークになり残業や飲み会がなくなり、生活時間に余裕ができた結果、体調がよくなった」という声を聞くことも多かったのですが、最近では、「以前に比べ、太った」「だるくて疲れやすい」など心身に不調を感じる声も多くなりました。これらの背景には食生活の変化が潜んでいます。少しでも気になった時が食生活を見直すサインかもしれません。毎日の食生活を振り返って不調の“沼”から脱出する改善策をみつけてみましょう。
新型コロナウイルス感染症の拡大による食生活の変化

朝ごはんで朝型化に、心身ともにスイッチオン!

 一人暮らしでテレワーク中のAさんの場合、ゆっくり起きて朝食抜きの1日2食。PC作業の合間にスナック菓子をつまみ、夕食と就寝も徐々に遅くなり、無意識のうちに夜型生活に移行した結果、体重や血糖値が自分史上最大になってしまいました。
 早稲田大学などの研究グループが行った3万人を対象にした大規模調査(2020年)によると、外出自粛により、朝型(早寝、早起き)になった人は体重が減り、夜型(遅寝、遅起き)になった人では体重が増える傾向が明らかになりました。夜型の人は体内時計が乱れやすく肥満や糖尿病のリスクが高くなるという研究結果もあります。そこで、まずは健康維持のためにも、朝型を習慣にしてみませんか。
朝ごはんに取り入れたい食品
(1)朝ごはんの重要性
 朝型の第一歩は朝ごはんです。朝ごはんは体内時計のリズムを整え、代謝を上げることにより午前中の脳の集中力や判断力を高めます。また、朝ごはん抜きで昼ごはんや夕ごはんを食べると食後の血糖上昇に影響することがわかっています。

(2)朝ごはんに取り入れたい食品
 朝ごはんでは体内時計をリセットし、細胞にブドウ糖を取り込むためにインスリンというホルモンの働きをよくすることが大切です。そのために必要な栄養素として、炭水化物とたんぱく質を組みあわせてとりましょう。例えばチーズ、ハムなどトッピングしたトーストや目玉焼きや納豆のせご飯はお手軽な朝食です。朝は食欲がないという人は、まずはバナナにヨーグルト、卵入り野菜スープなど食べやすいものから少しずつ始めてみましょう。朝ごはんをしっかりとる習慣をつけて体内時計を正しく動かすことにより生活のリズムが整ってきます。

昼ごはんは簡単でもちょい足し野菜の習慣を

「ちょい足し」に便利な食材
 「昼ごはんは面倒でついインスタント麺や冷凍のチャーハンやパスタなどで済ませてしまうけど、糖質中心で野菜不足のせいか便秘ぎみ。」という声もよく聞かれます。そのような場合は、便利なストック素材を使ってアレンジしてみましょう。カットワカメや冷凍野菜、日持ちするきのこ類(冷凍も可)などをストックしておくと便利です。麺やご飯ものが中心だとたんぱく質が不足するので、卵や魚の缶詰、ミックスビーンズなどを活用して補充しましょう。また、市販の弁当にはトマトやカット野菜など、まずはちょい足し野菜を習慣化してみましょう。

夕ごはんは腹八分目に20時頃までに

春日千加子氏 プロフィール
 お菓子のつまみ食いをしていると夕ごはんが意外と遅くなるのが落とし穴です。また、便利なデリバリーに頼りすぎて、美味しいディナーを食べすぎてしまうこともあるかもしれませんが、夕ごはんは腹八分目がベストです。テレワーク中の在宅時間を有効に活用して、夕ごはんを早めに取り、夜型生活から脱出しましょう。早めの夕ごはんは、脂肪の蓄積を減らし、血中のアルドステロンというホルモンの影響でナトリウムの尿排せつも多くなるなど体にとってメリットが多いことがわかっています。朝ごはんから夕ごはんまでは12時間以内に取ることが理想、早めに夕ごはんを済ませて食後はストレッチなどリラックスタイムを充実させ、心身ともに健康的な新しい生活リズムを作っていきましょう。
「テレワークごはん」表紙
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196