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〜これからの酪農業を支えるために〜

【寄稿】酪農教育ファーム活動の歴史と変遷
〜これからの酪農業を支えるために〜

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最終更新日:2022年6月6日

一般社団法人中央酪農会議

酪農教育ファーム活動とは

 酪農教育ファーム活動は「酪農を通して食やしごと、いのちの学びを支援する」ことを目的に、「認証」を受けた酪農家などが、牧場や学校などで行う教育活動です。
 「消費者から愛される酪農を目指す」という酪農家の思いと、「酪農(牧場)が持つ教育力や癒しの力を教育現場に活用して、命や食について学ばせたい」という教育関係者の思いが合致し、1998年7月、本会議が中心となって「酪農教育ファーム推進委員会」を設立しました。これが組織的な酪農教育ファーム活動の始まりです。
 その後、活動の目的や認証の条件、規則などを定めた「酪農教育ファーム認証制度」を創設し、「教育を行うのに適切な牧場」として第一期の酪農教育ファーム認証牧場116牧場が誕生しました。
 認証を受けて活動を行う「場(牧場など)」を「酪農教育ファーム認証牧場(以下「認証牧場」という)」、認証を受けて活動を行う「人」を「酪農教育ファームファシリテーター(以下「ファシリテーター」という)」といいます。2022年3月末現在、全国で261の認証牧場と540人のファシリテーターが活動しています。

酪農家と教室をつなぐオンライン授業

吉田牧場の吉田さん(中央画面内)と墨田区立第三 寺島小学校(福井みどり校長(左))をつないで

乳しぼりの様子を見つめる児童

飼料のにおいを嗅ぐ児童

 認証牧場における酪農体験者数は、2019年度は全国で約30万人でしたが、新型コロナウイルス感染症が発生した2020年度には約6万人と激減してしまいました。酪農教育ファーム活動ではこれまで、現地に足を運び身体を動かして学ぶ「体験学習」を重視してきました。新型コロナウイルス感染拡大により活動が制限される中、新たな取り組みとして「WEBを活用した酪農教育ファーム活動」をスタートしました。
 ここで1つの事例をご紹介します。
 2021年2月、埼玉県・吉田牧場の吉田恭寛(やすひろ)さんと、東京都墨田区立第三寺島小学校(福井みどり校長)の3年生が、オンラインで授業を行いました。
 吉田さんはZOOMにつないだスマートフォンで牧場内を映しながら案内し、子どもたちは教室のスクリーンの映像を見ながら授業が進みます。先生が間に入って声掛けをしながら、吉田さんと子どもたちがやりとりします。吉田さんからは子どもたちの反応がわかりにくい状況だったので、子どもたちへの問いかけを増やして反応を見たり、質問をたくさん受けたりするようにしたそうです。最後に、吉田さんから「この中に男の子の牛はどれくらいいると思う?」と質問したところ、大半は「半分」と答えました。「この中に男の子の牛は1頭もいません」というと、この日一番の驚きの声が上がりました。
 授業後、福井校長先生は「オンラインには、普段入れない場所を見ることができる、見せたいことを焦点化できるなどのメリットがあります。一方で、においや牛の温かさなどは本物から学ぶしかありません」、吉田さんは「オンラインのメリットを生かし、子どもたちや仲間たちとどんどんつながっていきたい」と語りました。

児童がまとめたワークシートから 『命をいただくということ』 メモ 酪農家さんのお話を聞いて、気づいたことや初めて知ったことを書こう ・いろんな「モーモー」でかんじょうをつたえる ・耳のしるし まいごにならない ・べろを出してきれいにえさを食べる ・びょうきで死ぬうしもいる ・牛は毎日牛乳をだす。休みなし ・牛乳をすてるのはざんねん

教育で酪農の未来を支える

 酪農教育ファーム活動は、子どもたちや消費者にとっては自らの学びの場、酪農家にとっては酪農を理解していただく場として、非常に重要な役割を担ってきました。コロナ禍で活動そのものが制限され、ファシリテーターが離れていってしまうのを、看過するわけにはいきません。子どもたちが酪農への理解を深めることは、日本の酪農の未来を支えることにほかなりません。酪農教育ファーム活動は、酪農家が消費者に直接思いを伝える絶好の機会であり、その重要度は今後より一層増すと考えられます。
 コロナ禍で得た「オンライン」という新たな手法も活用しながら、本会議においても引き続き、酪農・教育双方の関係者との連携を絶やさずに、酪農教育ファーム活動を推進していきたいと思います。

授業の最後、吉田さんに手を振る児童

酪農教育ファームについて詳しくはこちら
https://www.dairy.co.jp/edf/index.html
体験の内容やお申し込みは、直接牧場へお問い合わせください。

 
一般社団法人中央酪農会議 概要
1962年8月に設立された、日本における酪農分野の中央団体。
地方会員(9つの指定生乳生産者団体)と中央会員(6つの全国団体)からの「会費」と、指定団体に生乳を出荷する酪農家からの「拠出金」を基に運営。
日本酪農の安定と発展に貢献し、国民の健康の増進に寄与することを目的に、
(1)酪農家が搾った「生乳」の需給安定化のための取り組み
(2)「生乳」の安全・安心に関する取り組み
(3)日本酪農や国産牛乳乳製品の重要性を伝えて理解者・応援団を増やす取り組み―などを行う。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196