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国産冷凍野菜の広がり〜イシハラフーズ株式会社のこだわり〜
最終更新日:2025年8月5日
広報webマガジン「alic」2025年8月号
実は少ない国産冷凍野菜
下ごしらえが不要で、食べる分だけ使えるなど、利便性の高い冷凍野菜。その消費量は10年前と比べて20%程度増加しています。スーパーや生協、eコマースなどでは、ブロッコリー、えだまめ、ほうれんそうといった原料が単一の製品のほか、和風野菜やスープ用野菜といったミックスの製品など、多様な商品が展開されています。
では、これらの冷凍野菜のうち、国産の野菜を原料として使用している割合はどれくらいかご存じでしょうか。
野菜全体の食料自給率(カロリーベース)は76%である一方、冷凍野菜の国内生産量の割合は5〜10%程度と推定されており、国産の冷凍野菜は残念ながら多くはありません。
このような中ではありますが、家庭用冷凍野菜には、国産野菜を使用したものも見られ、産地にこだわったものや、栽培方法にこだわったものなど、消費者の皆さんの選択肢が広がっています。
その中で、栽培方法にこだわった国産野菜を使用した冷凍野菜を製造している会社が宮崎県都城市のイシハラフーズ株式会社です。
イシハラフーズの取り組み
同社は10品目以上の冷凍野菜を製造しており、そのほぼすべての原料を自社ほ場で生産しています。そして、すべての自社ほ場では、特別栽培農産物または有機JAS認証を取得した有機農産物の生産を行っています。

<農林水産省「有機農業をめぐる事情」から引用>
「特別栽培」は、化学肥料と化学合成農薬の使用について、地域における慣行的な使用量に比べ、5割以上低減して栽培するというものです。また、この方法により栽培された農産物を「特別栽培農産物」と言います。
「有機農産物」は、
(1)周辺から使用禁止資材が飛来し、または流入しないように必要な措置を講じている。
(2)種まきまたは植え付け前2年以上化学肥料や化学合成農薬を使用しない。
(3)組み換えDNA技術の利用や放射線照射を行わない。
など、「有機農産物の日本農林規格」の基準に従って生産された農産物のことです。この基準に適合した生産が行われていることを第三者機関が検査し、認証された事業者のみが、有機JASマークを貼り、「有機」や「オーガニック」などの名称の表示をすることができます。

<二次元コード付きの表示板>
特別栽培農産物や有機農産物の生産では、栽培管理に手間がかかり、人手が必要です。同社は、高度な機械化を進めることで省力化と品質の均一化を図っています。また、各ほ場に二次元コード付きの表示板を設置し、作業情報を現場ですぐに入力して、システム上で一元管理することで、ほ場管理を高度化しています。これらの取り組みを通して、より安心・安全な商品の製造に努めるとともに、手ごろな価格でありながら、品質の高さを実現しているということです。なお、同社は農業生産の各工程の実施、記録、点検および評価を行うことによる持続的な改善活動であるGAP(Good Agricultural Practices:農業生産工程管理)について、JGAP認証を取得しています。

<ごぼうの収穫>
また、同社のほ場は、工場から20km以内に位置しており、収穫後数時間以内に工場に搬入され、鮮度の高い状態で冷凍加工を行うことで、栄養や風味を保持した製品の製造が可能となっています。

<にんじんの加工工程>
つまり、冷凍野菜は収穫後すぐに加工を行うことで、生鮮であれば、輸送中に低下してしまう栄養素を保持することができるのです。
国産冷凍野菜を選んで活用しよう
国産の冷凍野菜は各社さまざまな工夫を凝らしています。また、複数の野菜をミックスした商品など、ラインナップも豊富になってきていて、冷凍野菜を活用したレシピは、製造企業やスーパーなど、さまざまなところで紹介されています。
今回、イシハラフーズ株式会社から、汁物ミックスを使った炊き込みごはんのレシピをご紹介いただきました。
便利な冷凍野菜、購入する際は産地や生産方法などの情報もぜひ参考にしてみてください。

写真及びレシピ提供:イシハラフーズ株式会社
参考文献
・一般社団法人 日本冷凍食品協会「令和 6 年(1〜12 月)冷凍食品の生産・消費について(速報)」「統計資料」
・農林水産省「有機農業をめぐる事情(令和7年5月)」
・農林水産省「有機農業・有機農産物とは」
・農林水産省「特別栽培農産物に係る表示ガイドラインパンフレット」
・日本農業新聞「[論説]冷凍食品の市場拡大 産地育てシェア奪還を(2024年6月21日)」
・野菜情報 2024年8月号「国産野菜シェア奪還プロジェクトのご紹介」
・野菜情報 2024年8月号「冷凍野菜の魅力と国産冷凍野菜に期待すること」
(野菜振興部助成業務課)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 総務部 (担当:総務広報課)
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