最終更新日:令和7年8月5日
広報webマガジン「alic」2025年8月号
えだまめは初夏になると出回る、夏を感じさせる野菜で、ビールのつまみとして人気です。大豆は世界で広く栽培されていますが、えだまめはこの大豆子実を未成熟で収穫したものです。日本独特の野菜ですが、近年、和食ブームなどにより世界に知られ、現在は各国で「EDAMAME(えだまめ)」として食べられるようになりました。
近年、豆の大きいものが人気でさまざまな品種のものが出回っていますが、日本で古くから栽培されているえだまめは、各地域に在来品種として特徴のある品種が数多く残っています。ぜひ、色々なえだまめの味を試してみてください! |
概要
えだまめはマメ科一年草の大豆の未成熟子実です。大豆の原産地は中国東北部といわれ、野生種の種子は太古から食料とされていました。
日本でも縄文時代の遺跡から大豆が出土しており、「古事記」( 7 1 2 年) や「日本書紀」( 7 2 0年)には五穀の一つとして記されています。江戸時代には夏にえだまめ売りの姿があったようです。古くは田植えの終わったあぜ道に農家の自家用として作られていたため「あぜまめ」とも呼ばれていましたが、その後、大豆の未成熟な実を枝つきのまま茹でで食べたことから「えだまめ」となったといわれています。
古くから栽培されているえだまめは、各地域で独特の品種が育ちました。山形県の「だだちゃ豆」、福島県の「かおり枝豆」、岩手県の「におい豆」、新潟県の「くろさき茶豆」、「いうなよ」、丹波地方の「黒大豆」など、在来品種として特色のある品種も各地に多数あり、根強い人気があります。
<えだまめ在来品種マップ>
生産と流通
えだまめは、もともとは大豆子実用の品種の若さやを利用していましたが、現在はえだまめ専用品種が400品種以上あります。
大豆は、秋の短日にならないと花を着けない秋大豆型(
晩生品種)と、日長に関係なく花を着ける夏大豆型(
早生品種)、その中間型がありますが、えだまめ栽培には夏大豆〜中間型の品種が主に用いられます。市場で主流となっているのは、「錦秋」、「サッポロミドリ」など見た目がきれいな白毛系といわれるやや大粒で白い毛を持つもので、収量が多い、豆の粒が大きい、食味が良いといった方向性で新しい品種開発が進んでいます。
令和5年産の作付面積は約1万2千ha、収穫量は6万2千tとなっており、生産はやや減少傾向となっています。県別の作付面積をみると、新潟県が第1位、次いで山形県、北海道と続きます。一方、収穫量でみると、北海道が第1位、次いで群馬県、千葉県と続きます。両者の順位が異なるのは、収量の多い品種を栽培しているか、在来品種など特有の品種を栽培しているかなど栽培品種の違いや栽培方法の違いによるものです。
資料:農林水産省「野菜生産出荷統計」
資料:農林水産省「野菜生産出荷統計」
月別に主要市場の入荷量を見ると、6月から9月にかけて大きな山となっており、非常に季節性の高い野菜であることが分かります。
資料:農畜産業振興機構「ベジ探」、原資料:東京都中央卸売市場年報、大阪市中央卸売市場年報、大阪府中央卸売市場年報
輸入状況
えだまめは、冷凍えだまめとして輸入されています。2024年は、約6万5千トンとなっており、国内生産量より多くのえだまめが輸入されていますが、主に業務用に利用されています。
主な輸入先は、中国、台湾、タイの3国となっています。一年を通して輸入されますが、夏場のビールなどのおつまみとして消費量が増える夏と宴会シーズンの12月に多くなっています。
かつて冷凍食品は美味しくないといった評価もありましたが、近年、冷凍技術は飛躍的に進歩し、野菜でも美味しく冷凍することが可能となってきました。冷凍えだまめもその一つで、個別急速冷凍(IQF:Individual Quick Frozen)により細胞を破壊せずにバラバラで急速に冷凍することが可能となり、品質が上がったことに加え、利用しやすくなりました。
冷凍野菜は、多くの商品で「ブランチング」と呼ばれる冷凍の前処理として熱湯や蒸気にあてていますので、解凍する時は加熱をし過ぎないのが美味しくいただくコツとなります。
資料:財務省「貿易統計」
資料:財務省「貿易統計」
栄養
えだまめは、大豆の若さやのことをいい、若さや付きの枝ごと収穫し、未成熟な大豆を食用とします。
大豆は「畑の肉」と呼ばれるほど栄養価が高い食物ですが、大豆同様、えだまめにもたんぱく質のほか、カルシウム、ビタミン、食物繊維、鉄、カリウムなどの栄養成分が豊富に含まれています。
特に葉物野菜に多い葉酸が多く含まれ、身体の成長、貧血予防、生活習慣病などに効果があります。
また、胃腸が弱いため夏バテを起こしている人に共通しているのが、ビタミンB1やビタミンB2などのビタミンの不足といわれますが、えだまめは葉物野菜に比べビタミンB1やビタミンB2を多く含んでおり、手軽に食べられる野菜として、夏バテ防止や疲労回復に効果的といえます。
◆えだまめの世界をもっと知りたい方はこちらへ
・野菜情報 2025年8月号 今月の野菜 「えだまめのあれこれ〜世界で需要拡大 英語になった「edamame」〜」
・野菜情報 2025年8月号 産地紹介 「山形県JA鶴岡 抜群のうま味と香り。日本一のえだまめと称される『だだちゃ豆』」
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農畜産業振興機構 総務部 (担当:総務広報課)
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