まめ知識
食肉が食卓に届くまで 〜食肉技術者の知識と技術〜
最終更新日:2026年2月5日
広報webマガジン「alic」2026年2月号
私たちがスーパーや精肉店で目にする、牛肉、豚肉、鶏肉。畜種による見た目や色の違いだけでなく、さまざまな形にカットされ、売り場に陳列されたお肉は、消費者の食欲をそそります。
「今日は何を作ろう?」「何を食べよう?」と悩んでいる―そんな悩みを解決する食材の一つではないでしょうか。
身近な食材であるお肉がお店に陳列されるまでにいくつもの工程があります。特に牛肉や豚肉には、「お肉のプロ」、「カット職人」と呼ばれる食肉技術者がいます。また、そのプロを育てている全国食肉学校もあります。ご存知でしたか?
alicの職員は、研修の一環で食肉が食卓に届くまでの流れや、それを支える食肉技術者について、全国食肉学校で学ぶことができます。今回は研修で学んだ「食肉が食卓に届くまで」を紹介します。 |
全国食肉学校とは?
1973年、群馬県に設立された公益社団法人全国食肉学校
(注)は、日本で唯一「食肉の全て」を学べる公的な職業能力開発校です。これまでに2,735名(令和7年12月時点)もの卒業生を食肉業界に送り出してきました。
この学校には、精肉店や飲食店の後継者、焼肉店の開業を目指す方など、食肉業界での活躍を夢見る人たちが全国から集まり、全寮制の環境で、枝肉の加工や食肉加工品の作成など実践に即した授業を通じて、食肉に関する知識と技術を徹底的に学んでいます。授業内容は食肉のカットや加工方法だけではなく、食肉業界の歴史や流通など多岐にわたります。
今回はその中でも食肉の流通とカットの技術に注目してみましょう。
(注)全国食肉学校については、広報誌alic2022年8月号「【寄稿】豊かな食卓に貢献する全国食肉学校」でも紹介しております。是非、そちらもご覧ください。
食肉が食卓に届くまで
畜産農家で大切に育てられた牛や豚はと畜、食肉の加工などを行う食肉センターに出荷されます。ここで皮や内臓を取り除き、「枝肉」と呼ばれる骨付きの大きな肉の塊になります。この枝肉は食肉業者が扱う食肉の最も大きな単位です。その後、枝肉は骨や脂肪を取り除き、「部分肉」と呼ばれる部位ごとに分けられます。さらに筋肉ごとに分割し、すじを取り分け、食べやすいサイズにカットすることで、私たちが店頭で目にする「精肉」になります。
画像提供:公益社団法人全国食肉学校 <食肉が食卓に届くまで>
食肉技術者の腕の見せどころ
食肉をカットする際、外国では骨の周りの肉やすじを効率的に解体するために廃棄することがあります。しかし、日本では、骨の周りの肉を丁寧に剥がし、取り分けたすじも商品にします。さらに、肉の周りについた脂肪も牛脂やラードなどの食用油脂として利用されます。
いただいた命を無駄なく使うために、手間がかかっても一頭一頭丁寧にカットする、それが、日本の食肉技術者が受け継いできた大切な技術なのです。
売り場で光る技術者の技
同じ部位の食肉でも、カットの仕方や並べ方で見た目や使い方は大きく変わります。
たとえば、脂肪が多くコクのある「豚バラ肉」、大きくカットすれば煮込み用、厚めなら焼肉用、薄くスライスすればしゃぶしゃぶ用になります。
食肉に旬はありませんが、メニューには季節性があり、季節によって需要の高い部位は異なります。需要が落ちる部位はカット方法を工夫することで、季節に合ったメニューを提案できる、これこそ、食肉技術者の技術なのです。
<カット方法の違いによる商品の特徴>
同じ部分の食肉を同じ様にカットしても、どの断面を見せるかによって、印象は大きく変わります。赤身をアピールしたい場合は、赤身が多い面を上にして並べます。逆に、脂肪の入り方などに特徴がある場合は、脂肪がよく見える面を上にします。
このように、並べ方ひとつで商品の見え方は大きく変わります。食肉技術者は食肉の特徴を見極め、最も美味しそうに見える並べ方にすることで、消費者にお肉の魅力を最大限に伝えています。
<並べ方の違いによる商品の特徴>
おわりに
このように、日本の食肉技術者は「いただいた命を無駄なく使う」という想いを胸に、消費者のニーズを考えながら日々カットを行っています。
ぜひ、お肉を購入する際には、こうした“技術者の技”にも目を向けて、感じてみてください。陳列されたお肉には、たくさんの知識と技術、そして想いが込められています。
(畜産振興部)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 総務部 (担当:総務広報課)
Tel:03-3583-8196