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業務の解説・トピックス

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最終更新日:2009年3月23日

(2012年6月14日一部修正)

「でん粉の基礎知識」(1)について

(独)農畜産業振興機構(ALIC)は皆さんの食生活に関連した情報をお届けいたします。
 さて、今回は次月号と2回にわたり「でん粉の基礎知識」についてお伝えします。第1回の今回は、「でん粉とは?」、「でん粉・コーンスターチの製造事情等」について取り上げたいと思います

でん粉(澱粉)とは?

 でん粉(澱粉)は、漢字が示すように、水に沈殿する性質を持つ白い粉末状の商品として知られています(英語はstarch)。
 原料の植物により異なりますが、植物は種子や地下にある茎、根などにでん粉を貯えますので、そこからでん粉を取り出して利用されます。
とうもろこし、小麦、米、ばれいしょ(じゃがいも)、かんしょ(さつまいも)、キャッサバ(マニオカ)いも、サゴ椰子、葛などを原料にしたでん粉がありますが、一般の方が店頭で見るのは、とろみをつける片栗粉(ばれいしょでん粉)や菓子食材などのコーンスターチです。
 なお片栗粉は、明治時代以前のばれいしょでん粉の近代工業的生産が無い時代に、カタクリの地下の茎に貯えられたでん粉が使用されていたことに由来します。
でん粉の粒子は、植物により、大きさ・粒形・糊化温度・粘度等が異なり、例えば、粒子の大きさは、米・とうもろこし・かんしょ・小麦・ばれいしょの順で大きくなります。
 また、でん粉が水に溶ける、糊化する温度を下げるなどの特徴を持たせるため、酸やアルカリを加えたり、加熱したりして、その性質を変性したものを化工(加工)でん粉といいます。
でん粉原料用かんしょ(ダイチノユメ)
でん粉原料用かんしょ(ダイチノユメ)

でん粉の製造事情等

 でん粉の生産は、熱帯のキャッサバから製造するタピオカでん粉やサゴでん粉は、タイやマレーシアで生産されてます。またコーンスターチの原料用とうもろこしは、全て輸入に依存しています。
日本では、ばれいしょ、かんしょから、国内産いもでん粉及び、小麦粉からたん白(グルテン)を分離した際の副産物として小麦でん粉等が生産されています。
 でん粉は簡単にいえば、原料を磨砕し、水に沈殿することを利用して、でん粉を分離(ふるいわけ)し、精製・乾燥させて製品となります。ばれいしょでん粉は、北海道で、かんしょでん粉は、昔は各地で生産されていましたが、現在は、鹿児島県の工場で生産されています。
 国内産いもでん粉工場は、農協系と地場の企業の工場があり、収穫期に合わせて秋から冬に操業が行われます。
 国内産いもでん粉は、北海道農業の輪作体型の一つであるばれいしょと、南九州(鹿児島・宮崎)のシラス台地で生産される基幹作物であるかんしょを原料として製造されており、地域経済・雇用に欠かせない重要なものです。
 しかしながら、国内産いもでん粉は、内外価格差があるため、砂糖・でん粉の価格調整制度による支援を、国内のでん粉原料用いも生産者や、国内産いもでん粉製造事業者へ行っているところです。
(例)かんしょでん粉の製造工程
(例)かんしょでん粉の製造工程

コーンスターチの製造事情等

 とうもろこしは、でん粉の含有率がばれいしょ(約3割)、かんしょ(約2割)に比べ、約7割と高く、また、製造工程の副産物はコーン油や飼料として、全て利用されています。
 現在、日本のでん粉の供給の過半は、輸入とうもろこしを原料にしたコーンスターチ企業が担っています。このような企業は一貫生産ラインにより、水あめ、ぶどう糖・異性化糖(ぶどう糖果糖液糖)などの糖化製品や化工でん粉までの生産を行っており、糖化製品向けとしてその生産量を増やしてきました。
 コーンスターチ工場は、大規模なものが多く、原料を輸入にたよっているため、その多くが臨海部にあります。(続)

 次回は「でん粉の用途等」を取り上げます。

(消費科学連合会「消費の道しるべ」(平成20年12月号)に掲載。2012年6月14日一部修正)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部  (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-9709