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【alicセミナー】食材の安定供給について 〜生鮮野菜の供給計画〜

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最終更新日:2013年5月8日

伊藤忠グループ 叶H料マネジメントサポート 代表取締役 福田 高志 氏

平成25年3月22日に開催したalicセミナーでは、生鮮野菜の流通をテーマに、叶H料マネジメントサポート 福田高志氏に講演を行って頂きました。以下にその概要をご紹介します。

現状とリスクマネジメント

福田高志氏
福田高志氏
家庭で野菜を調理する機会は減り、野菜の大半は惣菜や外食で消費されています。野菜消費比率は現在、加工・業務用野菜が59%、家庭用が41%となっています。

加工・業務用野菜の取引では、複数の生産者から仕入れた野菜を、中間流通事業者が取りまとめて数量を調節し、カット野菜事業者やコンビニ、外食レストランチェーンなど複数の事業者に納品されます。

業務用野菜は従来、仲卸業者が市場で買って納めていましたが、産地契約を結ぶことで野菜を確実に調達できるようになりました。

産地契約による野菜ビジネスの要諦は供給不足へのリスクマネジメントです。

リスクとは、天候異変により野菜が収穫できないことを指します。リスク回避のためには、産地や販売先と事前協議し在庫調整などをする必要があります。また、長期的には、生産性を上げる方向でリスク管理を行い、問題発生時には納入条件の点検が必要です。
生産から消費までの野菜取引経路
生産から消費までの野菜取引経路

課題と安定化に向けて

野菜ビジネスのルートが開拓された当時は、買い手の理解もあり、損失が発生したときは買い手と中間流通事業者の間で損失のシェアがありました。しかし、異常気象が続くと、損失のシェアができず、商品の取り扱い自体がなくなる、海外からの輸入に頼るようになるなどの影響が出ます。

また、野菜価格が高騰しているときも小売価格を維持し、さらにはセールスプロモーションすら行うといった、契約の精神の理解不足もみられます。

野菜の契約取引は、異常気象が続くときには、需給関係とは全く関係のない契約取引を強要することになる点で、改善が必要です。

供給不足の対応策として、供給義務契約を変更し、異常が生じたときには買い手の理解と協力を取りつけ、メニュー変更や代替品の納入について協議できるような体制をつくり、これを標準契約に盛り込めるようにしたいと考えています。私たち納入業者の義務としては、輸入を含む供給体制を、業界を上げて整備することだと思っています。

おわりに

野菜ビジネスの契約取引は、加工・業務用野菜の分野を成長させるために必要です。工業用品の取引とは異なり、生産者と小売業者との関係はいつまでも続くため、問題発生時に業界全体で協議し、シェアをしていくことが重要です。

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