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【第一線から】人と作物が育つ農業を 〜(株)鈴生(すずなり)の取り組み〜

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最終更新日:2014年3月5日

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 比較的温暖な静岡県は冬レタスの主力産地となっています。
 静岡県のレタス年間出荷量は全国第7位。夏場は長野県のレタスが有名ですが、冬場 12 月〜1月の東京都中央卸売市場への出荷量では全国第1位を誇っています。

◆レタス農家の3代目兄弟3人で畑を守る

 静岡市、焼津市、菊川市、袋井市及び磐田市でレタスを栽培している(株)鈴すずなり生の社長、鈴木貴博(よしひろ)さんは、 37 歳の若手経営者です。3兄弟の長男として、祖父母の代から営んできた農業を2人の弟と共に継承し、その精力的な取り組みはマスコミに取り上げられるなど、地域の担い手として期待されています。
 大学を卒業後、山梨県で1年間の農業研修を経験。平成 12 年から精力的にレタスの栽培面積の拡大に力を入れましたが、最初の5年間は、土壌管理の難しさに悩まされました。数々の苦労を経て、経営が安定してきた平成 20 年に、「作物も人もたくさん実る会社にしたい」という思いから(株)鈴生を設立しました。
 今では、レタス類( 50 ha )、枝豆( 25 ha )をはじめ多様な野菜を生産。 20 人以上の従業員を抱え、日々野菜作りに奮闘しています。
株式会社鈴生社長 鈴木貴博さん社訓は「おいしさを求めて」
株式会社鈴生社長 鈴木貴博さん社訓は「おいしさを求めて」

◆面積拡大の影に土壌管理への情熱

 (株)鈴生では、「JGAP認証」「JAS有機農産物」「しずおか農産物認証」「特別栽培農産物」等、数多くの認定を受けた野菜を栽培しています。
 「人と同じように、基礎となる土の健康管理が重要。健全な土壌から美味しい野菜ができる」と話す鈴木さん。除草剤や土壌消毒剤等は使用せず、肥料は地元の鶏糞や魚かす等を使用、枝豆を収穫した後の残さも冬場のレタスの堆肥として利用するなど、農薬や化学肥料に極力頼らない自然環境を大切にした農業を行っています。
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 また、「土の専門家になりたい」と積極的に大学や研究機関から情報を収集し、現在は、研究機関と共同で、土の水分や温度等を測定・分析することで、野菜作りに適した土壌作りに取り組んでいます。
すずなり2

◆次世代の農業者

畑から収穫された新鮮なレタス
畑から収穫された新鮮なレタス
 (株)鈴生を支えるのは 20 〜 30 代の若い農業者です。スタッフからは積極的に畑の状況や作業の進捗具合の報告があるほか、時には職場環境や経営について意見したりすることも珍しくないそう。
 成果を挙げた従業員を表彰するなど、モチベーションを保つ環境作りにも取り組んでいます。また、独立を希望する者に対しては就農支援を行い、将来の担い手の育成にも力を注いでいます。
 「従業員は家族以上の存在。自分の分身だと思っている。従業員からの意見や要望は、今までのやり方を見直すきっかけになる」と謙虚に鈴木さんは語ります。

◆すずなりブランドから人材育成

 「まずは野菜生産で100 ha を目指し、『すずなりブランド』の野菜を全国の消費者に知ってもらいたい。その後は、老人ホームや児童施設を立ち上げ、野菜を育てる楽しさや食育の大切さを伝えていきたい」鈴木さんは今後の展望についてこのように力強く語ってくれました。
 「おいしさを求めて」という社訓には、単に野菜を育てるだけではなく、人も育てていきたいという想いが込められています 今後の『すずなり』の挑戦に期待が膨らみます。

◆契約取引を支える仕組み

 (株)鈴生では、「農業の産業化を」との思いから、予め価格と数量を決めた契約取引を行っています。
 市場出荷では、規格に制限がありますが、契約取引では、台風等の影響で小玉になったレタスでも取引することができ、無駄のない生産を可能にします。
 「高品質な野菜で契約も必ず守る」と取引先からの信頼も厚く、取材時(平成26 年1月下旬)には、レタスをオーダーする電話がひっきりなしにかかっていました。
 契約取引には、不作時に市場価格が高騰する中でも、定価格で販売しなければならないという課題もありますが、同社は、alicが実施する契約野菜収入確保モデル事業(不作時、価格が高騰している市場ではなく、契約に沿って野菜を出荷した場合に、高騰した市場価格と発動基準額との差額により補填を受けられる仕組み)に参加し、このリスクの軽減を図っています。
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