[本文へジャンプ]

文字サイズ
  • 標準
  • 大きく
お問い合わせ
検索
alic 独立行政法人農畜産業振興機構
消費者コーナー 「食」の安全・安心や食育に関する情報、料理レシピなど

ホーム > 消費者コーナー > 広報誌 > 【農村研修体験記】てん菜を中心とした畑作農家での研修報告について

【農村研修体験記】てん菜を中心とした畑作農家での研修報告について

印刷ページ

最終更新日:2019年3月6日

 alicでは毎年度人材育成の一環として、生産現場での仕事などを通じて農畜産業の生きた知識を得るため若手職員を生産者のもとに派遣する農村派遣研修を実施しています。昨年10 月に北海道のてん菜を中心とした畑作農家で研修させていただいたalic職員 根岸 淑恵(ねぎし よしえ)の研修報告書の一部を紹介します。

研修期間:平成30 年10 月22 〜 31 日( 10 日間)
研修場所:北海道河東(かとう)郡鹿追(しかおい)町  上嶋氏宅(てん菜を中心とした畑作経営)
 

1.研修先の概要と研修内容

レポ1-2

 研修先である上嶋家は、現在の事業主である和志氏の祖父から和志氏の息子の浩二氏まで、4代続く畑作農家である。耕作面積は45 ha で、そのうちてん菜が11 ha を占め、その他種ばれいしょ、秋播き小麦、小豆、加工用キャベツや坊ちゃんかぼちゃなども栽培している。
 てん菜は、近年では生産者の高齢化や生産規模拡大に伴う省力化のため、移植栽培から直播栽培に移行する生産者が増えており、鹿追町でも直播率は増加傾向にある。しかし、同町を含む十勝地方では、春先の植付け時期にフェーン性の強風が吹きつけるため、直播栽培の場合、種子が飛ばされたり、苗が折損するなどの風害も大きい。そのため、上嶋氏宅では、安定した収量を確保するため移植栽培にこだわっているという。
 研修では、てん菜収穫作業を中心に、種ばれいしょのくずいも取り、坊ちゃんかぼちゃの選別などの作業も経験させていただいた。また、JA鹿追町のご厚意により、バイオガスプラント、コントラクター(農作業受委託)事業施設などの関係施設も見学することができた。
 

2.てん菜の収穫作業

熱帯種

 上嶋氏宅では、所有する収穫機によりてん菜の収穫を行うが、まれに機械で収穫できなかったものがほ場に残るため、収穫後の畝うねを追って、こうしたてん菜を集める作業が必要となる。また、ほ場が隣接している場合には、収穫機の導入スペースを確保する必要があるため、あらかじめほ場の四隅を手刈りするなど、収穫は完全に機械化されているものの、細かな部分では依然として人手が必要な作業がある。研修ではこれらの手刈りでの作業を行った。てん菜1個当たりの重量は、大きいものでは1 kg を超えるため、掘り起こしや製糖工場へ出荷する際に不要となるビートトップ(てん菜の葉の部分。写真参照)の切除という一連の動作はなかなかの重労働である。
 

3.研修で得た知見や感想等

 今回の研修で何よりも感じたことは、農作業の細やかさであった。乾燥や雨による影響を防ぐために、集積したてん菜へビニールシートを被せる作業でも、出荷までの間に凹凸に溜まった雨水でてん菜が傷まないよう均一に山をならすなど、天候に左右されながらも大切に育てた作物に、出荷する時まで人手をかけるのは日本ならではのことだと感じた。農作業のほとんどは、かがんだり、しゃがんだりと足腰への負担も大きく、そういった観点からも、農作業の効率化、省力化の重要性を改めて実感した。
 また、農業関連施設を何ヵ所か見学させていただいたが、特にJA事業としては全国で最初に設立されたコントラクター(農作業受委託)事業施設や、酪農の盛んな鹿追町で2つのバイオガスプラントを有する環境保全センターなど、鹿追町の先駆的な取り組み事例に驚かされるばかりであった。一方で、資源循環型農業を実現し、酪農、畑作ともに規模拡大を図る中、コントラクター事業で農作業を受託する側も人手不足となっていることなどといった課題に直面している状況を知り、一朝一夕にいかない難しさを感じた。
 鹿追町は人口約5500人のうち約1200人が畑作・酪農に従事する、農業が基幹産業の町である。町の経済を支える農業の衰退は、ひいては町の存続に関わると、JAの方がおっしゃっていた言葉がとても印象的であった。だからこそ、研修で出会った生産者やJ A鹿追町の職員の方々は、どうしたら収量が上がるか、課題を解決できるかなどを真剣に考えながら農業に取り組まれており、その姿にalic職員として身が引き締まる思いであった。 

レポ1-1

てんさい

4.おわりに

 砂糖は、われわれ国民の摂取カロリー全体の約8%を占めており、食料自給率への寄与度も高い品目である。
 今回の研修では、甘味資源作物であるてん菜の収穫作業を通して、生産者が安定した収量確保や糖度を上げることを常に考えながら、いかに細やかな作業をしているかをわずかながらも経験し、知ることができた。これにより、最近の砂糖が敬遠されがちな風潮に対して、砂糖に関する誤った認識を是正できるよう、正しい情報を発信していくことが大切だと改めて実感した。

 最後に、研修を快く受け入れて下さり、温かくご指導くださった上嶋ご一家、鹿追町の関係者をはじめとする研修にお力添えいただいた全ての皆様に厚く御礼申し上げます。
 
前のページ         次のページ
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196



このページのトップへ

Copyright 2016 Agriculture & Livestock Industries Corporation All rights Reserved.