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【第一線から】JGAP団体認証を取得!安全・安心の実証を求めて。〜 JA ふくしま未来〜

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最終更新日:2019年5月8日

きゅうり生産者の橘内(きつない)さん
きゅうり生産者の橘内(きつない)さん

 2011年3月11日に発生した東日本大震災は、各地に大きな被害をもたらし、さらに東京電力福島第一原子力発電所の事故もあり、福島県の農林漁業者の皆さんは復興・再生を図るために様々な努力を続けています。
 今回紹介するJAふくしま未来は、安全・安心の確保のために、そしてその実証のためにJGAP(※)団体認証の取得を進めています。
(※)食の安全や環境保全に取り組む農場に与えられる認証で、農林水産省が導入を推奨する農業生産工程管理手法の1つ。
 

県内トップのGAP取得数、JAふくしま未来

 JAふくしま未来は、福島県北地域と相馬地域の12市町村を管轄し、管内面積は、福島県全体の19%を占めています。2016年に4つのJAが合併して広域JAとなりました。米、果樹、野菜など数多くの品目を栽培している大産地です。野菜の代表品目は、主にいちご、きゅうり、トマトです。同JAの主要品目のひとつであるきゅうり生産は、露地栽培を中心に、雨除け栽培、抑制栽培を利用した栽培で、いくつかの作型を組み合わせることで2〜11月までの長期間出荷をしています。2018年度の栽培面積は57ha、生産量1万488t、そのうちJGAP生産者の栽培面積は5・9ha、生産量589tです。2018年10月15日に同JAのきゅうり部会(生産者数21人)がJGAP団体認証を取得しました。また、きゅうり部会と同時に、蔬菜(そさい)部会、水稲(すいとう)部会も取得し、同年5月に取得した桃、梨、果樹と合わせて認証農場は6団体104農場となり、同JA管内の取得数は県内トップです。最初は、安全の実証を目的として、JAの組合長や役職のある生産者を中心に取得の取組みが始まりましたが、最近では若い人たちの取得が増えました。本年6月にはきゅうり生産者の取得者数が48人に増える予定です。意欲ある生産者が増え、同JAの担当者は「我々もJGAP取得によって優位な販売を実現することで生産者を支えていきたい。」と話されます。

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福島県農産物への不安払拭

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 JAふくしま未来がJGAP取得を進めるのは、原発事故以降の福島産農産物への不安を払拭するためです。震災から8年経った現在も、出荷前に放射性物質検査を実施し、安全・安心の確保に努めています。今回のJGAP取得は、出荷物だけでなく、生産工程上の安全・安心も高めることになりました。
 また、福島県は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催地の一つです。同大会の食材調達基準ではGAP認証の取得等が必要とされており、同JAには、これを機に、是非地元の野菜を食材として使ってもらいたい、そして、世界に福島産の農産物の安全性や素晴らしさを知ってもらいたいという思いもありました。

地域で取り組むJGAP

ハウス

 きゅうり生産者でJGAP取得者の橘内(きつない)さんは、きゅうり生産を始めて5年目です。以前は一般企業に勤務されていましたが、御祖父様の土地を継いで農業を始められました。橘内さんによれば、「JGAP取得は団体認証だから実現できた。JAの協力がなかったら難しかった。」とのことです。JA職員の鴫原(しぎはら)さんも「取得の事務に関することはJAが担当して、生産者の負担を減らすことが、「団体」で取得するメリットのひとつだった。」と話されており、生産者とJAとの間で連携がとれていることがうかがえます。
 JGAPの基準のひとつである日々の作業の記録や台帳の作成は、慣れるまで大変でしたが、そのおかげで随分と整理整頓ができるようになったという実感があると橘内さんは話されます。
 「農業を始めるとき、『きゅうりをやる』と言ったら周りから『それはまた大変な品目を選んだ』と言われた。でも、始めてみると楽しくて楽しくて、早起きも苦にならない。」と充実した様子で話す橘内さんは67歳。まだまだ日本の食卓を支えていただくことを期待します。(野菜振興部)
 
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