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【レポート】タイにおける砂糖の消費動向について

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最終更新日:2019年9月4日

 タイは世界第4位の砂糖生産国であるとともに、日本の砂糖輸入先国としては豪州に次いで第2位の、わが国の食品産業にとって非常に重要な存在です。今回は、タイにおける砂糖の消費動向について紹介します。

業務用砂糖の主な用途は飲料向け

 タイの1人当たりの年間砂糖消費量は45〜48kgと、アジアの中ではマレーシアに次いで多く、日本人の約3倍もの砂糖を消費しています。国内では毎年約250万tの砂糖が消費され、その約半分が業務用として加工食品などの製造に使用されています。その中でも、ジュースなどの飲料向けが最も多く、業務用砂糖の約44%を占めています(図1、写真1)。

レポ1-2

ぐらふ

豊富な種類の家庭用砂糖

 タイでは家庭用の砂糖も種類が多く、白糖はもちろんのこと、ブラウンシュガーやカラメルが添加された日本の三温糖のような褐色の砂糖も店頭に並んでいます(写真2、3)。タイには製糖メーカーが10社以上あり、他社との差別化を図ることを目的に、各社が新製品の開発に力を入れているためと考えられます。また、冷たく甘い飲み物が好まれるタイならではともいえる、数百g単位で包装された大容量のシロップも一般的に販売されています。  
 

熱帯種

アンガス

環境や健康に配慮して作られたオーガニックシュガー

レポ1-1

 近年、食の安全や環境問題を意識する消費者の増加により、世界的に有機食品の需要が高まっています。タイ国内のオーガニックシュガー(有機栽培のサトウキビのみで作られた砂糖)製造企業は1社のみで、主に国内向けに販売されていますが、EUや日本などの外国の有機認証を取得して輸出もしています(写真4)。有機食品の需要は、健康志向の高まりにより特に都市部で増加するとみられており、有機食品の原材料として欠かせないオーガニックシュガーの需要も今後伸びると考えられています。  

 

糖類控えめな飲料や食品が増える見込み

 一方で、近年タイでは生活習慣病が社会問題となっています。タイ政府は2017年、国民の健康増進を目的に、糖類を含む飲料に対して課税する「砂糖税」を導入しました。100ミリリットル当たり6g以上の糖類を含む飲料が対象となり、糖類の含有量が多いほど課税額は高くなります。飲料メーカーは商品の値上げを避けるため、砂糖の含有量を減らしたり、また商品のサイズを小さくしたりしていることから、飲料に仕向けられる砂糖の量は今後減少すると見込まれています。  タイ政府は砂糖税のほかにも、糖類・塩分・脂質などの含有量が基準値より少ない食品や飲料に対してHealthier Choice≠ニ呼ばれるマークを表示し、消費者に健康的な商品の選択を促す取り組みを通じて生活習慣病の予防に力を入れています(図2、写真5)。

レポ1-5

タイ

国内消費は減少し、輸出が増える見込み

 以上のように、タイでは、消費者の健康志向の高まりや、砂糖税の影響などにより、糖類控えめな飲料や食品が増加すると見込まれています。こうしたことから、国内消費の落ち込みをカバーするために砂糖の輸出が促進され、特に近隣のASEAN(東南アジア諸国連合)諸国への輸出量が増加するとみられています。
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