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【alicセミナー】冷凍食品のメリットと最新トレンド

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最終更新日:2019年9月4日

 alicでは、業務を通じて得られた情報や、これらに関連する様々な情報を広く国民の方々に知っていただけるよう社会的発信の充実に取り組んでおり、その一環として「alicセミナー」を開催しています。  
 近年の国内においては、高齢化と少数世帯の増加、女性の社会進出等により、簡便食材の代表格である冷凍食品の生産量や消費量が増加しています。  
 そこで、7月25日(木)のalicセミナーでは、「冷凍食品のメリットと最新トレンド」をテーマに冷凍食品ジャーナリスト、有限会社冷凍食品エフエフプレス山本純子(やまもと じゅんこ)取締役編集長を講師にお招きして、ご講演いただきましたので、その概要を紹介します。  
 

alicセミナーグラフ

セミ1

 日本の冷凍食品は今年99周年、業界団体は50周年を迎えます。この50年の冷凍食品の国内生産量及び消費量の推移をみると、国内生産量は約20倍、1人当たり消費量は約28倍にものぼります(図1)。  
 

冷凍食品とは?4つの条件

 確実に成長を遂げ、我々の生活に浸透している冷凍食品ですが、そもそも冷凍食品とはなんでしょうか。ごく簡単に言ってしまうと「凍っている食品」ですが、実はいずれも「前処理」「急速凍結」「包装」「マイナス18℃以下」という4つの条件を満たすように作られており、なおかつこれらの条件がさまざまなメリットを生み出しています。  
 まず、冷凍食品には洗浄したり食べられない部分を取り除くなどの「前処理」がされており、利用者の手間が省けます。山本氏は「冷凍食品を使うことは『手抜き』ではなく『手間抜き』」だと仰います。次に、「急速凍結」は、緩慢(かんまん)凍結に比べて食品の細胞組織の損なわれ方が少ない、すなわち栄養やおいしさがそのままという利点があります(図2)。また「包装」されていることで衛生的かつさまざまな情報も明記できます。そして冷凍食品の流通で最大のポイントでもある「マイナス18℃以下」では、腐敗や食中毒の原因となる細菌が活動できないため、保存料不要でおおよそ1年間の日持ちがします。冷凍食品の最大のメリットは「腐らないこと」なのです。  
 

図2 カナダのと畜頭数と牛肉生産量

成長をけん引する家庭用冷凍食品のトレンド

 冷凍食品には時代ごとにヒット商品が生まれ、それらがさらに全体の需要を伸ばしてきました。うどんや炒飯などの主食系、餃子やから揚げなどのおかず系が伸長し、さらにお弁当や朝食、洋スナックの活性にも期待がされています。特にでん粉には「冷凍適性がある」とされ、冷凍に向いているため、うどんや炒飯などに多くの美味しい商品やヒット商品があります。  
 また、最近は冷凍食品の種類だけでなく、「買い場」も広がっています。中でも、コンビニエンスストアの冷凍食品が急伸しており、その背景には、単身者や高齢者が最も買い物に行き易い場所として、大手チェーンが注力していることが挙げられます。この他、ドラッグストアでの販売ルートも伸びており、フランスの冷凍食品専門店の本格展開(写真1)、オフィスに「置き冷食」を設置する(写真2)無店舗販売などがあります。

写真1:フランスの日常の味がそのまま日本へ届けられるのも(ピカール)冷凍食品の魅力。
写真1:フランスの日常の味がそのまま日本へ届けられるのも(ピカール)冷凍食品の魅力。

写真2:オフィスに設置された「置き冷食」(シュガーレディ)
写真2:オフィスに設置された「置き冷食」(シュガーレディ)

今後は世界市場へチャレンジ

 昨年秋に行われた、日本の食に関心のある世界中のバイヤーが集まる「“日本の食品”輸出EXPO」において、冷凍食品のブースは大盛況でした。海外のバイヤーはみな、日本の冷凍食品の美味しさと安さ、調理の簡単さに驚いた様子でした。日本のメーカーは今後、国内のみでなく、欧州や北米、アジアを中心に、これまでの技術力や開発力を発揮し、海外の新たな市場への進出を視野に入れた事業に力を入れていきます。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196