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【外部寄稿】放牧をめぐる情勢について

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最終更新日:2021年3月3日

はじめに

一般財団法人日本GAP協会事務局長 荻野 宏

 政府は令和2年3月に「食料・農業・農村基本計画」を策定し、令和元年度の飼料自給率25%(粗飼料77%、濃厚飼料12%)を令和12年度に34%(粗飼料:100%、濃厚飼料15%)まで引き上げる目標を設定しています。 
 また、令和2年3月に策定した「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」において、酪農・肉用牛の生産基盤を強化するためには、経営コストの3〜5割を占める飼料費(図1)の低減が不可欠であり、輸入飼料に過度に依存した畜産から国産飼料に立脚した畜産への転換を推進すると規定されています。その具体的な取組として、土地条件の不利な水田や広大な草地を有する公共牧場等の活用を推進しています。

放牧の現状

 放牧の体系としては、放牧地で牧草等を採食できる春から秋に放牧し、冬期は舎飼いをする「夏山冬里方式」、放牧地で1年中放牧をさせる「周年放牧」があります。また、放牧する場所も、牧草や野草が主体の放牧地や、水田を活用した放牧、林間放牧、耕作放棄地等を活用した放牧等があります。 
 全国で放牧されている牛は、乳用牛では総飼養頭数の約2割の約30万頭であり、そのうち北海道で放牧されている牛は放牧牛全体の約9割となっています。肉用繁殖牛では総飼養頭数の約2割の約11万頭であり、そのうちの約6割が都府県での放牧となっています。(表1) 
 また、放牧は舎飼いと比較して給餌や家畜排せつ物処理などの飼養管理に係るコスト、採草などの飼料生産に係るコストの削減が可能であり、肉用繁殖牛経営では約3割(図2)、酪農経営では約2割(図3)のコストが低減できると試算しています。

レポ1-2

ぐらふ

放牧のメリット・デメリット

 前述のとおり、放牧を行うことのメリットとしては、牛が放牧地の草を直接食べることから飼料生産や給与が省力化できること、牛が自ら放牧地に排せつするため家畜排せつ物の処理を省力化できることから飼養管理のための労働時間の短縮が可能になり、飼料生産・家畜飼養管理のコストが低減できることがあげられます。 
 また、放牧することにより牛の健康状況が良くなることから、乳用牛や肉用繁殖牛の繁殖能力の回復や向上も期待できます。 
 肉用繁殖牛では、条件不利で利用されなくなった中山間地の水田や耕作放棄地を活用した放牧が行われており、遊休農地の有効活用や景観の維持など地域の活性化にも寄与しています。 
 放牧は、放牧地の牧草を直接牛に採食させ、ふん尿は草地に直接還元される資源循環型農業となっており、持続可能な畜産物生産ともいえます。さらに、放牧は放牧地の牧草を主体に飼養管理を行っていることから有機畜産物生産にも取り組みやすい飼養形態となっています。 
 デメリットとしては、酪農においては毎日搾乳を行う必要があるため放牧地と搾乳をする場所が近くに立地していなくてはいけないといった制約があるほか、乳牛が食べる草の栄養成分の影響で乳量の低下や乳脂肪分が季節によって大きく変化するといった課題があります。 
 また、放牧する牛の衛生管理として、放牧地に発生するダニなどの寄生虫やアブなどの吸血昆虫の対策も必要となってきます。 
 さらに、放牧を開始するにあたり、牛を放牧に慣れさせる技術や電気牧柵などの放牧地の管理に関係する技術等を習得する必要があることのほか、特に耕作放棄地など近くに住宅地がある場合には周辺住民の放牧への理解醸成を図る必要がある等の課題があります。

放牧に関係する認証制度

 放牧に関する認証制度としては、一般社団法人日本草地畜産種子協会が行っている「放牧畜産基準認証制度」があります。
 この認証制度は、放牧を取り入れた畜産(放牧畜産)を普及推進するために「放牧畜産基準」を設定し、放牧畜産を実践する牧場の認証や放牧畜産から生産される畜産物の認証を行っています。認証取得件数は令和2年7月現在で108件となっています。(表2)
 この認証制度が広く消費者から支持を得られるとともに、放牧畜産共通の認証マーク(図4)の表示を通じて、放牧畜産によって生産される畜産物がより拡大し、放牧畜産の普及推進につながることが期待されます。

レポ1-1

てんさい

小林さんご夫妻(写真左)、奥様と長女の晴香氏と(写真右)

略歴

このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196



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