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〜2022年農業アウトルック・フォーラムから〜

【alicセミナー】米国酪農・肉用牛業界の展望
〜2022年農業アウトルック・フォーラムから〜

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最終更新日:2022年8月5日

 JETROニューヨーク事務所の岡田卓也氏によるセミナーをalicチャンネル(YouTube)にて配信しました(配信期間:5月27日(金)〜6月3日(金))。

酪農・乳業について

 米国の2022年の乳用経産牛(搾乳牛)の飼養頭数は減少傾向にありますが、1頭当たり乳量の増加により、生乳生産量はわずかに増加すると見込まれます。しかし、国内外の乳製品需要の高まりを鑑みると、生乳需給はひっ迫しています。
 このため、乳製品の卸売価格の上昇に伴い、乳価も上昇が見込まれますが、生産コストの上昇から増産意欲は抑制され、飼養頭数は減少傾向が続くと予想されます(図1)。
 

図1 米国酪農業界の動向まとめ

肉用牛・牛肉について

 米国の2022年の肉用牛の飼養頭数は減少傾向にあり、牧草の供給不足により肥育仕向け予定頭数が減少するため、牛肉生産量は減少すると見込まれます。
 牛肉輸出量をみると、2021年は韓国や中国向けが増えたことにより大幅に増加しましたが、2022年は牛肉生産量の減少や他国産との競争激化により減少すると予想されます。なお、米国政府や業界関係者は、ロイン系は国内需要が高いことから、ロイン系以外の部位や食用副産物(タンやハラミなどのバラエティーミート)について、食べる文化がある国・地域向けへの輸出を促進しています(図2)。

図2 牛肉の各部位の主な輸出先 資料:米国食肉輸出連合会(USMEF)  注:ASEAN の主な輸出先はインドネシア、フィリピン、ベトナム。

 パンデミックによる港湾混雑やトラック運転手不足などのサプライチェーンの混乱は、米国農畜産業にも大きな影響を与えました。米国政府や業界関係者は、港湾の営業時間拡大などの港湾混雑緩和策を講じるとともに、労働環境の改善や人材確保などに向けて支援し、サプライチェーンの強化を図っています。

 視聴者からは、「今後の見通しや解説の根拠が示されていて良かった」「品目ごとの状況から港湾問題や米国政府の取り組みまでの流れも理解しやすいもので、非常に勉強になった」といった感想が寄せられました。alicでは皆様のご意見を踏まえ、今後も情報提供に取り組んでまいります。


講演資料は、こちらからご覧ください。
参考 畜産の情報 2022年4月号「米国農畜産業の展望 〜2022年農業アウトルック・フォーラムから〜」
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196