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牛乳乳製品をめぐる状況 〜生乳の特性や需給の仕組み〜

【業務関連情報】消費者向けの食育講座で講演
牛乳乳製品をめぐる状況 〜生乳の特性や需給の仕組み〜

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最終更新日:2023年1月5日

広報誌「alic」2023年1月号

はじめに

食育講座の様子
食育講座の様子

 令和4年10月21日札幌市において、公益社団法人札幌消費者協会と北海道に本社を置く乳業メーカーの共催による生乳需給をテーマとした一般消費者向けの食育講座が開催されました。この講座において、alicの玉井酪農乳業部長が「牛乳乳製品をめぐる状況〜生乳の特性や需給の仕組み〜」と題した講演を行い、生乳需給における乳製品の役割などについて説明を行いました。講座には21名が参加しました。

講演の概要

 生乳は地域や季節などで需給ギャップが生じますが、生き物の牛から生産されるため、簡単に需要に合わせた調整はできません。このため、講座では、生乳需給の仕組みやそのギャップに伴う需給調整などの業界の取り組みを紹介しました。
 生乳を生み出す乳牛は、人間と同じ哺乳類なので、出産して初めてお乳を出します。生産者が増頭すると決めてから生乳生産が実際に増える(母牛に人工授精し、生まれたメス牛が妊娠・出産して乳を出すようになる)までには約3年かかります。つまり、生乳が足りないからといって、生産量を短期間に増やしたりすることができません。逆に、余っているからといって搾乳を止めることもできません。
 また、乳牛は冷涼な環境を好むことから、生乳生産量は夏にかけて減少し、冬から春にかけて増加します。一方で、生乳需要量は飲用向けを中心に、夏にかけて増加し、冬にかけて減少する傾向があります。加えて、生乳生産量は北海道が都府県を上回っている一方で、需要量は大都市圏を抱える都府県が多いという大きな偏りがあります。そのため実際の需給調整は、北海道から都府県への需要に応じた生乳の輸送や長期保存が可能な脱脂粉乳やバターの製造によって行われています。
 さらに、令和2年以降においては、新型コロナウイルス感染拡大に伴う学校給食用牛乳の供給停止によって脱脂粉乳やバターなどの保存の利く乳製品への生乳仕向け量が増加したことに加え、観光・インバウンド需要の減少・喪失によって業務用乳製品需要が減少したため、積み増した脱脂粉乳やバターの在庫の解消が業界の大きな課題となっています。乳業各社は、輸入品との置き換えや飼料原料への転用、消費拡大などを通して在庫の解消を進めています。
 最後に、「牛乳は日持ちせず、さらに台風や新型コロナウイルスの感染拡大の影響などにより、原料となる生乳は過剰気味となっていますので、牛乳乳製品の消費拡大に協力していただきたい。」と呼びかけました。

毎日の食卓に、ぜひ牛乳乳製品を

alicは、「牛乳でスマイル プロジェクト」 メンバーです
alicは、「牛乳でスマイル プロジェクト」 メンバーです

 講座の後半では、参加者の方々からさまざまなご質問やご意見があったほか、共催の乳業メーカーから提供のあった牛乳やスキムミルクを使用した「みるく豚汁」の試食も行われ、楽しみながら牛乳乳製品の特性に触れていただきました。
 alicは脱脂粉乳やバターなどの製造に仕向けられる加工原料乳に対する支援やコロナ禍で増加した脱脂粉乳の在庫を低減させる取り組みなどを通して、生産者・乳業関係者の皆さまを支援しています。また、農林水産省では「牛乳でスマイルプロジェクト」を立ち上げ、企業や団体、自治体などと連携し、牛乳乳製品の消費の拡大を目指しています。
 酪農家は今、肥料や飼料、燃料の高騰など経営面で大きな課題に直面しています。こうした中、牛乳乳製品の消費が酪農家への応援につながります。牛乳には、筋肉や皮膚、血管などを作る良質のタンパク質、骨を丈夫にするカルシウム、免疫機能の維持に重要なビタミンAなど、さまざまな栄養素が含まれています。ご家庭で少しでも多くの牛乳乳製品を食生活の一部として取り入れていただくようご協力をお願いいたします。
みるく豚汁 2022.10.21 『大人の食育講座』
主催:(公社)札幌消費者協会 共催:よつ葉乳業株式会社


1人分熱量317kcal
食塩相当量1.19g
≪材 料≫
・豚肉(切落とし)…100g
・人参、きゃべつ、大根、玉ねぎ…各100g
・じゃがいも(メークイン)…3個(200g)
・長ねぎ…1/2本(65g)
・干ししいたけ…3枚(15g)
・みそ…大さじ3(54g)
・だし汁(しいたけのもどし汁)…400ml
・牛乳…500ml
・スキムミルク…30g
・サラダ油…大さじ1
≪作り方≫
(1)人参、大根・じゃがいも…いちょう切り
  玉ねぎ…半分に切って薄切り
  きゃべつ…ざく切り
  長ねぎ…斜め切り
  豚肉…3cm位に切る
(2)鍋にサラダ油と(1)の材料とみそ(大さじ1)を入れて炒める。
  油が回ったらだし汁を入れ、野菜が軟らかくなるまで煮る。
  牛乳を少し器に入れ、みそ(大さじ2)とスキムミルクを溶かし、残りの牛乳と一緒に鍋に入れて、ひと煮立ちさせる。
  最後にねぎを入れ、火を止める。

(酪農乳業部)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196