消費者コーナー 「食」の安全・安心や食育に関する情報、料理レシピなど

ホーム > 消費者コーナー > 広報誌 > 【alicセミナー】EUにおける昆虫の飼料利用の実態と展望

【alicセミナー】EUにおける昆虫の飼料利用の実態と展望

印刷ページ

最終更新日:2024年2月5日

広報誌「alic」2024年2月号
 JETROブリュッセル事務所の平石康久氏によるセミナーをalicチャンネル(YouTube)にて配信しました(配信期間:2023年11月14日(火)〜12月13日(水))。

昆虫の飼料利用の動きの背景

 EUでは、「Farm to Fork(農場から食卓まで)戦略(注)」において、森林破壊を伴う大豆生産などへの依存を減らすことを目標に、タンパク質飼料の域内自給率向上に資する昆虫などの代替飼料原料利用に向けた条件整備が進められています。

(注)持続可能な社会への移行を目指し、2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにすることを目標とする「欧州グリーン・ディール」の一環で、生産から消費までの食品システムを公正で健康的で環境に配慮したものにすることを目指し、自然、食料システム、生物多様性の新たなバランスを提示することを目的としている。

昆虫の飼料利用と主な規制

昆虫由来製品のイメージ (Innovafeed社提供)
昆虫由来製品のイメージ (Innovafeed社提供)

 EUでは現在、8種類の昆虫が、ペットフード、魚類、家きん類、豚を対象とする動物用飼料に利用を認められています。ただし、生きた昆虫の利用を認めるかどうかは加盟国の裁量となっており、物理的特性を変更しない乾燥または冷凍された昆虫丸ごとの状態での利用は認められていません。また、飼料用昆虫の餌については、原則として植物性に限られ、食品残渣の利用は限定的となっています。

今後の見通し

 昆虫養殖は、食品加工工場で発生する食品残渣などのバイオマス資源を、輸送コストが低く、より付加価値が高いタンパク質や脂質に転換可能であることが強みと言え、昆虫養殖企業は、飼料メーカーとの長期間の納入契約などにより生産規模を拡大しています。EUの規制の見直しが、従来昆虫を食用や飼料として利用している日本を含む世界各国に影響を与える可能性があることから、今後の動向が注目されます。

 視聴者からは、「EUは世界の先端を行っているように感じた」「農業資材などの新しい分野の産業が世界でどのように進んでいるか、今後も取り上げてほしい」といった感想が寄せられました。alicでは皆さまのご意見を踏まえ、今後も情報提供に取り組んでまいります。

講演資料は、こちらからご覧ください。
参考 畜産の情報2023年9月号「EUにおける昆虫の飼料利用の実態と展望」
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196