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気象:ラニーニャ現象はほぼ終息

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最終更新日:2011年5月30日

5月中旬に終息

世界気象機関(WMO)は5月23日、2010年7月中旬から始まったラニーニャ現象は2011年1月にピークを迎え、2月から徐々に弱まり、5月中旬ようやく終息したと報告した。WMOでは、太平洋東部の赤道付近で2010年9月から2011年3月まで海面水温が平均水温より1.5℃低く、最近では最も強いラニーニャ現象であったと分析しており、このため、現在、海面水温は回復したものの、大気への影響は4月末をピークに今後数か月は残るとしている。

今回のラニーニャ現象により、豪州東部などの豪雨、ロシア、中国、アルゼンチンの干ばつ、欧州、米国の寒波、日本の猛暑など世界中に異常気象を来し、その結果、2010年から2011年にかけてさまざまな農業被害をもたらした。

※ラニーニャ現象とは南米ペルー沖の太平洋赤道付近で海面水温が低下する現象のこと。

 

(参考)

ロシア:干ばつで2011/12年度冬穀物のは種に遅れ  2010年9月1日
ロシア:猛暑による干ばつの影響について  2010年11月2日
FAO:ラニーニャ現象による農業への影響について  2010年12月28日
豪州:洪水被害地域と農産物生産について 2011年1月6日
豪州北東部の洪水で農産物出荷に悪影響 2011年1月7日
中国:干ばつ被害で小麦生産量に減少懸念 2011年1月20日
ラ・ニーニャがトウモロコシの生産に与える影響(アルゼンチン)  2011年2月10日
FAO:中国北部平原の干ばつで、深刻さを増す冬小麦への影響  2011年2月14日
 WMOに先立ち11日に同様の発表している気象庁では、太平洋赤道付近でエルニーニョ/ラニーニャ現象等監視区域を設定し、海面水温の監視を行っている。海面水温の変化が一目瞭然に理解できることから、図2により監視区域の海面水温と平均値との差の推移を紹介する。
図1
図2

2011年後半は平常な状態が続くか

 WMOでは、現時点で2011年後半のラニーニャ/エルニーニョ現象が出現する可能性は今のところ低いと予測する。気象庁でも、今夏は平常な状態が続く可能性が高いとする。しかし、いずれの機関も、今後の気象予測には不確実性が大きく、状況次第ではエルニーニョ現象が発生する可能性もあるとする。こうした気象変動は、トウモロコシや大豆など穀物生産への影響を及ぼしかねないことから、引き続き注意が必要である。

【星野 和久  平成23年5月30日発】
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