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〜人工甘味料・国内産かんしょでん粉〜

近年における甘味料・でん粉の需要動向
〜人工甘味料・国内産かんしょでん粉〜

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最終更新日:2016年4月11日

近年における甘味料・でん粉の需要動向
〜人工甘味料・国内産かんしょでん粉〜

2016年4月

調査情報部

【要約】

 人工甘味料は、主にカロリー低減製品の甘味料として使用されており、複数の人工甘味料を併用する事例が多く見られた。国内産かんしょでん粉は、菓子や麺類などを中心に使用されており、他のでん粉に対する優位性として「国内産であること」が挙げられた。

はじめに

 当機構は、甘味料およびでん粉の需要動向を把握するため、平成20年から毎年、食品製造企業などのユーザーを対象に、当該年(1〜12月)における甘味料およびでん粉の使用状況などについて聞き取り調査を実施している。

 調査対象企業は毎回30社程度を選定しており、各年の企業数は表1の通りである。なお、調査対象企業は年ごとに選定しているため、各年において必ずしも同一ではない。調査項目は、使用している甘味料またはでん粉ごとに「使用製品」「使用理由」「仕入れ価格の動向」「仕入れ量の動向および今後の見込み」「品質面および調達面に関する評価」などである。

 本稿では、これまでに実施した7年間の調査結果を基に、近年における人工甘味料および国内産かんしょでん粉の需要動向を報告する。なお、近年における砂糖、異性化糖、国内産ばれいしょでん粉の需要動向については、本誌2016年2月号を参照されたい。
 

1.人工甘味料

 人工甘味料のうち、特に需要量の多いアスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースについて報告する。
(1)アスパルテーム
 アスパルテームは、アスパラギン酸とフェニルアラニンの2種類のアミノ酸を縮合させて製造されるアミノ酸系甘味料で、1965年に米国で開発された。カロリーは砂糖と同じ1グラム当たり4キロカロリーであるが、甘味度は砂糖の200倍であるため、カロリーを低減することが可能である。特性として、 1)苦みが少なく砂糖に似た甘みを持ち、後味がすっきりしている、 2)コーヒーや医薬品などの苦みを隠す効果や、フルーツフレーバーの風味増強効果がある、 3)タンパク質の成分であるアミノ酸から出来ているため歯垢形成を起こさず、虫歯の原因になりにくい(非う蝕性)、 4)砂糖と比較し、吸湿、軟化しにくい、などが挙げられる。

 食品添加物の安全性評価を行う国際機関である、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(FAO/WHO Joint Expert Committee on Food Additives、以下「JECFA」という)において、1日当たりの摂取許容量(以下「ADI」という)は体重1キログラム当たり0〜40ミリグラムと設定されている。わが国では、1983年に食品添加物として指定を受けているが、使用基準は設定されていない。

ア.わが国における需要動向
 食品化学新聞社「食品添加物総覧2011−2014」によると、わが国におけるアスパルテームの年間の需要量は約480トンで、分野別の内訳は飲料50%、ガム・タブレットなど35%、チルド商品・その他15%となっている。わが国では、大手食品メーカーが製造する国産品と輸入品が流通しており、財務省「貿易統計」によると、平成27年の輸入量は155トン(前年比10.2%減)であった(図1)。輸入先国はフランス、ウルグアイ、中国、韓国、米国の5カ国で、フランス、ウルグアイ、中国が全体の約9割を占めている。近年では安価な中国製の輸入量が増加傾向にある。
 
イ.食品製造企業における需要動向
(ア)使用状況

 アスパルテームの使用企業数は表2の通りで、調査対象企業に占める使用企業の割合は年々増加しており、平成26年は34%を占めた。菓子、飲料分野での使用が多く、この他、漬物、水産練製品などでも使用が見られた。使用理由は「カロリー低減のため」が最も多く挙げられ、主にカロリーオフやカロリーゼロ商品やノンシュガー商品の甘味料として使用されていた。この他、「コスト削減のため」や、ガムでは「甘みが長時間持続するため」などの理由が挙げられた。
 
(イ)仕入れ量および仕入れ価格の動向
 各年における仕入れ量の動向は、年によりばらつきが見られたが、直近3年は「横ばい」の割合が高かった(図2)。増減要因を見ると、「使用製品の製造量の増減」が最も多かった。アスパルテームが主にカロリー低減商品の甘味料として使用されていることから、仕入れ量はカロリー低減商品の売り上げに左右されていると言える。

 ほとんどの企業で国内産品が使用されており、輸入品を使用する企業は限定的で、内訳は平成22年に中国製と韓国製が各1社、24年に韓国製が1社、25年に韓国製が2社、26年に中国製と韓国製が各1社であった。

 仕入れ価格に大きな変動は見られなかった。仕入れ価格帯は1キログラム当たり6000〜8000円であった。
 
(2)アセスルファムカリウム
 アセスルファムカリウムは、酢酸由来のジケテンと酸性洗浄剤などとして利用されているスルファミン酸を合成反応させた後に、三酸化硫黄を反応させ、水酸化カリウムで中和、結晶化したもので、1967年にドイツで開発された。

 甘味度は砂糖の200倍であり、カロリーは1グラム当たり0カロリーである。特性として、 1)甘みを速く感じ、後味のない甘みを持つが、特有の苦みを感じる場合がある、 2)熱や酵素に対し安定性が高く、水溶液中でも安定性が高い、 3)水溶性が高い、 4)アスパルテームなどの他の甘味料との併用によって、砂糖に近い甘みとなる、 5)虫歯の原因になりにくい、などが挙げられる。

 JECFAにおいて、ADIは体重1キログラム当たり0〜15ミリグラムと設定されている。わが国では、2000年に食品添加物として指定を受けており、使用食品ごとに使用基準が設定されている(表3)。
 
ア.わが国における需要動向
 食品化学新聞社「食品添加物総覧2011−2014」によると、わが国におけるアセスルファムカリウムの年間の需要量は約480トンで、約80%が飲料分野で使用されている。現在、わが国で流通しているのは全て輸入品とみられる。

 財務省「貿易統計」によると、平成27年の輸入量は478トン(前年比 14.4%減)で、輸入先国はドイツ、中国、ウルグアイの3カ国で、このうちドイツが最も多く、全体の68%を占めた(図3)。これは、アセスルファムカリウムの開発メーカーであるニュートリノヴァ社(現・セラニーズ社)がドイツに所在しているためであるとみられる。また、近年、価格面で優位性を持つ中国からの輸入量が増加傾向にある。
 
イ.食品製造企業における需要動向
(ア)使用状況

 アセスルファムカリウムの使用企業数は表4の通りで、調査対象企業に占める使用企業の割合は年々増加しており、平成26年は40%を占めた。アスパルテームと同様に菓子、飲料分野での使用が多く、使用理由は「カロリー低減のため」が最も多く挙げられ、主にカロリーオフやカロリーゼロ商品やノンシュガー商品の甘味料として使用されていた。この他、「コスト削減のため」や、漬物では「素材の辛みや臭みを抑制するため」との理由が挙げられた。スクラロースなどの他の人工甘味料と併用する事例が多く見られた。
 
(イ)仕入れ量および仕入れ価格の動向
 各年における仕入れ量の動向は、平成22年までは「増加」が40%程度で推移し、23年以降、「増加」が11〜25%にとどまり、「横ばい」が増加した(図4)。増減要因を見ると、「使用製品の製造量の増減」が最も多かった。アセスルファムカリウムが主にカロリー低減商品の甘味料として使用されており、仕入れ量はカロリー低減商品の売り上げに左右されていると言える。
 
 使用しているアセスルファムカリウムの製造元はドイツが最も多かったが、25年以降、中国製を使用する企業が24年には1社だったものが、25年は6社、26年は4社と増加傾向にある。

 仕入れ価格については、各年とも「横ばい」または「下落」とする企業が多く、価格は下落傾向で推移したとみられる。26年には、「安価な中国製に引きずられ、他国製も下落している」との声も聞かれた。26年の仕入れ価格帯は1キログラム当たり3000〜1万2000円となった。なお、3000円と回答した企業が使用していたのは中国製であった。
(3)スクラロース
 スクラロースは、砂糖を原料とする甘味料である。砂糖の3カ所の水酸基を選択的に塩素原子に置換することにより生成され、1976年に英国で開発された。

 甘味度は砂糖の600倍であり、カロリーは1グラム当たり0カロリーである。特性として、 1)砂糖に近いまろやかな甘みを持つ、 2)熱や酸に強く、水などに溶けやすい、 3)虫歯の原因になりにくい、などが挙げられる。

 JECFAにおいて、ADIは体重1キログラム当たり0〜15ミリグラムと設定されている。わが国では、1999年に食品添加物として指定を受けており、使用食品ごとに使用基準が設定されている(表5)。
 
ア.わが国における需要動向
 食品化学新聞社「食品添加物総覧2011−2014」によると、わが国におけるスクラロースの年間の需要量は約100トンで、分野別の内訳は飲料35%、菓子・菓子パン30%、デザート・冷菓15%、総菜・漬物など10%、その他 10%となっている。財務省「貿易統計」によると、平成27年の輸入量は18トンで、輸入先国は中国、米国であったが、約9割が中国からの輸入であった(図5)。国内需要量に対して輸入量が少ないことや、世界市場で圧倒的なシェアを誇る英国のテート&ライル社の生産拠点がシンガポールや米国などにあることを踏まえると、これらの国から輸入されたスクラロースが他のHSコードに分類されている可能性も考えられる。
 
イ.食品製造企業における需要動向
(ア)使用状況

 スクラロースの使用企業数は表6の通りで、平成21年以降は調査対象企業の30%以上の企業で使用されていた。使用製品分野はアスパルテームやアセスルファムカリウムと同様、菓子、飲料が多く、スクラロースは熱に強いことなどから、特に、カロリーオフの紅茶や減糖タイプのコーヒーに使用されている事例が多かった。この他、乳製品、パン、調味料、漬物などでも使用されていた。使用理由は、他の人工甘味料と同様に「カロリー低減のため」が最も多く、「スクラロース特有の甘みが出せるため」「さっぱり感が出るため」などの理由も挙げられた。また、アセスルファムカリウムと併用する事例が多く見られ、併用する理由に「アセスルファムカリウムで最初の甘みを、スクラロースで後味の甘みを出すため」などが挙げられた。
 
(イ)仕入れ状況
 各年における仕入れ量の動向は、平成20、21年は各社で分かれたが、22年以降は「横ばい」との回答が50%以上を占めており、仕入れ量に大きな変動はなかったとみられる(図6)。増減要因を見ると、他の人工甘味料と同様に「使用製品の製造量の増減」が最も多かった。
 
 仕入れ価格について大きな変動はなかったが、「他の人工甘味料に比べると高価格である」との声が聞かれ、仕入れ価格帯は、1キログラム当たり5〜6万円とする企業が最も多かった。一方で、25、26年の調査では、数千円〜1万2000円と回答する企業も複数見られ、近年、安価な製品も出回っているとみられる。

2.国内産かんしょでん粉

(1)わが国における需給動向
 農林水産省によると、調査対象期間における国内産かんしょでん粉の供給量は減少傾向で推移し、特に平成24でん粉年度(10月〜翌9月)以降は4万トンを下回る水準で推移しており、26でん粉年度は3万8000トンの見込みである(図7)。



 26でん粉年度の国内産かんしょでん粉の用途別販売量を見ると、糖化製品向けが最も多く、全体の70%以上を占めている。食品用途では菓子類16%、麺類5%などで利用されている(図8)。
 
(2)食品製造企業における需要動向
ア.使用状況

 国内産かんしょでん粉の使用企業数は表7の通りであった。使用製品分類は菓子、麺類・春雨、水産練製品、片栗粉、糖化製品などであった。

 使用理由を見ると、「商品の形成のため(菓子)」「とろみを出すため(菓子)」「耐熱性、調理特性が製品に最適であるため(春雨)」「ばれいしょでん粉と小麦でん粉の中間的な食感を出すため(水産練製品)」「保水材や結着材として(水産練製品)」など、製品の特性を引き出すために使用している事例が多く見られた。また、他のでん粉に対する優位性としては「国内産であること」が最も多く挙げられた。



イ.仕入れ量および仕入れ価格の動向
 各年における仕入れ量の動向を見ると、各年ともに「増加」または「横ばい」が多く、「減少」は少なかった(図9)。増減要因を見ると、「使用製品の製造量の増減」が最も多いが、その他、「コーンスターチから切り替えたため(菓子)」「国内産ばれいしょでん粉から切り替えたため(水産練製品)」といったコスト削減を目的としたものや、「国内産だから(菓子)」といった回答も見られた。

 仕入れ価格については、平成21〜24年において「上昇した」と回答した企業が多く見られ、上昇の理由として「他のでん粉の価格の上昇による」が挙げられた。



ウ.品質面および調達面に関する評価
 品質面については、多くの企業が「問題ない」とした。平成22、24年に水分含量や色などの品質改善を求める意見が見られたが、25年以降は、いずれの企業も「問題ない」とした。

 供給面については、21年に「主産地が鹿児島県であるため物流コストが割高になる」との意見も見られたが、多くの企業が「問題ない」とした。

おわりに

 人工甘味料は、消費者の低カロリー志向の高まり により、カロリー低減製品の甘味料として消費量を伸ばしてきた。各企業でも同様の理由により使用する事例が多かった。仕入れ量の動向で「横ばい」とする企業が多く見られたことから、今後も一定の需要量は確保していくものとみられるが、需要量が大幅に増加する可能性は低いのではないだろうか。

 国内産かんしょでん粉は、用途の7割が糖化製品向けであることから、本調査において使用する企業は限られたが、仕入れ量の動向で「横ばい」または「増加」とする企業が多く見られ、食品での使用が定着しつつあることがうかがえる。また、品質面においても多くの企業が評価しており、今後、食品における使用の拡大が期待される。

 当機構では、今後とも需要実態調査の実施などを通じて、甘味料およびでん粉の需要動向の把握に努めていきたい。

【参考文献】
食品化学新聞社(2014)『食品添加物総覧2011−2014』
調査情報部「平成20年度甘味料の需要実態調査の概要」『砂糖類情報』(2009年7月号)
調査情報部「平成21年度甘味料の需要実態調査の概要」『砂糖類情報』(2010年6月号)
調査情報部「平成22年度甘味料の需要実態調査の概要」『砂糖類情報』(2011年6月号)
調査情報部「平成23年度甘味料の需要実態調査の概要」『砂糖類情報』(2012年6月号)
調査情報部「平成24年度甘味料の需要実態調査の概要」『砂糖類・でん粉情報』(2013年7月号)
調査情報部「平成25年度甘味料の需要実態調査の概要〜加糖調製品・人工甘味料編〜」『砂糖類・でん粉情報』(2014年10月号)
調査情報部「平成26年度甘味料の需要実態調査の概要〜加糖調製品・人工甘味料編〜」『砂糖類・でん粉情報』(2015年8月号)
調査情報部「平成20年度でん粉の需要実態調査の概要」『でん粉情報』(2009年7月号)
調査情報部「平成21年度でん粉の需要実態調査の概要」『でん粉情報』(2010年6月号)
調査情報部「平成22年度でん粉の需要実態調査の概要」『でん粉情報』(2011年5月号)
調査情報部「平成23年度でん粉の需要実態調査の概要」『でん粉情報』(2012年6月号)
調査情報部「平成24年度でん粉の需要実態調査の概要」『砂糖類・でん粉情報』(2013年6月号)
調査情報部「平成25年度でん粉の需要実態調査の概要〜国内産いもでん粉、輸入ばれいしょでん粉〜」『砂糖類・でん粉情報』(2014年7月号)
調査情報部「平成26年度でん粉の需要実態調査の概要〜ばれいしょでん粉・かんしょでん粉・小麦でん粉〜」『砂糖類・でん粉情報』(2015年5月号)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713



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