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【レポート】中国の飼料原料穀物の需給動向

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最終更新日:2020年5月13日

 中国では、経済発展による生活水準の向上により畜産物の消費が増加しており、畜産物の生産効率を上げるために、穀物を原料とした栄養価の高い飼料の需要が増加しています。これに対応するため、国をあげて飼料や飼料の原料となる穀物の生産を振興し、飼料生産量は年々増加してきました。2018年の飼料生産量は約2億3000万tで、これは世界の生産量の約3分の1を占めています。
 中国では、このような飼料の原料に、エネルギー源としてトウモロコシが、たんぱく源として大豆かす(大豆から油を作る時の搾りかす)が使われています。そこで、今回は、トウモロコシや大豆の生産、大豆かすの供給状況について紹介します。
 

レポ1-1

トウモロコシの生産動向

 トウモロコシは中国の主要農産物の一つであり、冷涼な気候である東北部の黒竜江省や(こくりゅうこうしょう)吉林省(きつりんしょう)で多く生産されています。年間生産量は約2億t以上あり、このうち約7割が飼料の原料となっています。近年は生産過剰で在庫を多く抱えているため、政府は、トウモロコシから大豆への転作を推奨してきました。このため、2016年以降は生産量が徐々に減少しています。なお、需要量をほぼ国産でまかなっているため、輸入量は需要量の1%未満です。
 

レポ1-2

大豆の生産動向と大豆かすの供給状況

 中国では植物油の消費が多く、その中でも最も多く消費されているのが大豆油です。大豆は、黒竜江省など一部地域に集中して生産されており、かつてはこのような地域で大豆油が生産されていました。しかし、中国産大豆は小粒で油の含有量が少ないため、近年は豆腐などの加工食品の原料に向けられており、油用の大豆は輸入に頼っています。2017年では大豆の年間生産量は約1300 万t、輸入量は約9400万tでした。
 この大豆油を生産するときの搾りかすである大豆かすが、飼料の原料となっています。したがって、大豆かすの生産量は大豆の輸入量に影響を受けます。
 中国は主に米国とブラジルから大豆を輸入していますが、2018年は米中貿易摩擦の影響で米国からの大豆の輸入量が大幅に減少し、大豆かすの生産量も減少しました。一方で、ASF(アフリカ豚熱)の影響で豚の飼養頭数が1億頭以上減少したため、飼料の需要も減少しました。このため、最終的には飼料供給に大きく影響することはありませんでした。
 

熱帯種

中国の飼料需要が、飼料原料穀物の国際貿易に影響を与える

 このように、中国では主な飼料原料であるトウモロコシは自給できていますが、大豆かすの原料となる大豆は輸入に頼っています。
こうした中で、トウモロコシの国内での減産が続いている一方、大豆輸入量は世界の大豆貿易量の約6割を占めていることを考慮すると、今後も中国の畜産物や飼料の需要が世界の飼料原料穀物の貿易に影響を及ぼしていくものと見込まれます。
 

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EU

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