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【第一線から】生産者とともに歩む。安定価格、安定品質野菜を食卓へ〜契約取引の取組現場から〜

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最終更新日:2020年5月13日

左より茨城営業所所長の中島氏、担当の山内氏
左より茨城営業所所長の中島氏、担当の山内氏

 皆さんは野菜が収穫されてから、どのような流通過程を経て食卓に並んでいるかご存じでしょうか。主に、卸売市場を通して小売店の店頭に並ぶ流通形態と、定時・定量・定価格・定品質を売りに産地の集荷業者が独自の出荷組合を持ち、小売店に届ける「契約取引」があります。今回は、国産野菜の中では他に先駆けて契約取引を行ってきた株式会社ゼントクコーポレーション(東京都大田区)の取組について紹介します。
 

これまでのあゆみ

 同社は、昭和20年の創業以来、青果や花(か)きを中心とした卸売業者として長い歴史を持ち、春はくさい、青首大根の生産をいち早く手がけ、野菜産地の育成や流通において大きな役割を担ってきました。現在は、全国の産地で契約取引に積極的に取り組んでおり、安定した価格で、安定した品質の野菜を食卓へ届けています。
 

契約取引の取組

美幌製糖所

 同社の茨城営業所長の中島氏によると、平成17年頃から契約取引を始めましたが、当初はなかなか出荷してくれる生産者が集まらず苦労したとのことです。当時、野菜の生産者の間では、市場を通じた取引が深く根付いており、固定価格の契約を結んだ後に市場価格が高騰すると、得られるはずだった収入を逸失したという考え方が大部分だったからです。
 そこで、契約した生産者に対して、土づくりから生産計画の策定、生産管理、出荷の調整までを全て支援することに加え、指導に従って作付けを行っても収穫できなかった場合の金銭補償も行い、少しずつ生産者の信頼を得ることで、契約取引を拡大しました。「こちらもリスクをとり、それを2、3年やり続けて初めて生産者からの信頼を得られる」と中島氏は話されます。今でも契約生産者を1軒1軒回って、実際にほ場を歩き、生産現場の土壌環境や気象状況に合った指導ができるようにするための知識を蓄えながら、生産者とのコミュニケーションを続けています。
 

契約取引の生産者

 同社は、新鮮で高品質な野菜を消費者に提供するため、自社で出荷組合を持っています。出荷組合の茨城支部長を務める大野正男(おおのまさお)さんは、延べ10haのほ場でレタス、はくさい、キャベツ、ブロッコリー、かぼちゃ、なす、トウモロコシ、ねぎ、にんじんを年間を通して生産しています。平成17年9月から知人の紹介で同社との契約取引が始まり、現在では、生産数量の全てを同社に出荷しています。
 

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契約取引で生産に集中

 「契約取引は豊凶による市場価格の変動に左右されることなく安心して生産ができる。良い野菜を作ることだけに集中できる」とおっしゃる大野さんは、出荷組合に属する生産者の中でも特に野菜作りに熱心で、良いと聞いた方法は全て試して、環境・土壌に合った生産を追求しています。大野さんが生産した野菜は棚持ちが良いと評判で、量販店からは、大野さんを指名で注文が入るようになりました。年間を通して多品目を生産し、リスクを分散した経営を行っています。
 

契約取引の価格高騰時の苦労

1線1-8

 計画よりも多く生産した分は契約の下で引き取ってもらえますが、苦労するのは不作などで生産数量が減少した時です。契約単価は変わらないため、生産者の収入は減少してしまいます。一方で、品薄で市場価格は高騰するため、市場に出荷したいと思う生産者も多くなります。
 こうしたケースに備えて、alicでは「契約野菜収入確保モデル事業」(※1)を行っています。市場価格が高騰したとき、過去の平均価格から算定された基準価格と市場価格の差額の一部を補てんする仕組みであり、生産者が安心して契約取引を行う一助となっています。大野さんもこの事業に参加し、不作時の収入の確保を図っておられます。

( ※1) 詳細はhttps://www.alic.go.jp/y-keiyaku/yagyomu03_000105.html をご覧ください。
 
 

安定した価格・品質の野菜を食卓へ届けるために

 契約取引は、消費者から見ると、安定した価格で、安定した品質の野菜を購入できるというメリットがある一方で、生産者の立場からは、決められた規格・数量の野菜を必ず出荷しなければならないことになります。ほ場の管理には細心の注意を払う必要があり、また休みが取りにくいなどの大変さもあります。それでも大野さんはおいしい野菜を皆さんの食卓へ届けたいという一心で、筑波おろし(※2)が吹く中、今日もご夫婦で野菜づくりをされています。
 消費者のもとへ安定的に国産野菜が届けられるよう、alicの事業を通じて大野さんをはじめとする野菜生産者に安心して野菜の生産を続けていただきたいと願っています。

(※2)茨城県地域で冬期に吹く強い北西風。
(野菜振興部契約取引推進課)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196