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挙。井牧場(北海道富良野市)の訪問報告

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最終更新日:2014年9月3日

7月23日(水)、北海道富良野市で、先進的な酪農経営に挑戦し続ける有限会社藤井牧場(以下「藤井牧場」)を訪問しましたので、その概要を報告します。

経営概要

代表は、藤井雄一郎さん(36)。
藤井さんは、淡路島(兵庫県)から北海道に移住した先祖から数えて5代目。
酪農で国内初となる農場HACCP認証を取得し、現在は、食料・農業・農村政策審議会委員も務めています。
藤井牧場は110年前に酪農を始め、現在は経産牛を400頭飼養、年間約4,300t(1リットルパック牛乳の約410万本分)の生乳を出荷する、いわゆる「メガファーム」の1つです。

砂のベッドでストレス軽減

砂のベッドで寝そべる牛たち
砂のベッドで寝そべる牛たち
牛床(牛の寝床)には牧草やオガクズを敷くのが一般的ですが、藤井牧場では砂が敷かれています。
以前は藤井牧場でも牧草を使用していましたが、2年前に開催されたセミナーで砂のベッドに関する講演を聞いたことをきっかけに、すべての牛床を砂のベッドに変更しました。
これにより、以前から悩まされていた後肢の関節が腫れるトラブルは、ほとんどなくなったそうです。牛へのストレスが軽減されたことで、病気の発生が減り、1頭当たりの乳量の増加にもつながったそうです。
藤井さんは牛が快適に生活できる環境づくりや牛にとっての幸せを常に考え、愛情をもって牛たちと接しています。

人も育つ

 左から当機構の佐藤理事長、藤井代表、当機構の強谷総括理事
 左から当機構の佐藤理事長、藤井代表、当機構の強谷総括理事
藤井牧場の経営理念は、『牛も人もどんどん育つ牧場』です。
かつては、スタッフは与えられた仕事を淡々とこなすだけだったといいます。
そのスタッフの意識が180度変わる大きな出来事になったのが、農場HACCP認証の取得です。
認証を受けるために提出しなければならない飼養衛生管理の手順や方法、トラブルの対処法などをまとめた「農場衛生管理基準書」の作成には、スタッフ全員が関わりました。
基準書が完成するまで昼夜を問わず皆が様々な意見を出し合い、全員が納得いくまで議論を重ねてきたといいます。
この経験が、仕事一つ一つの意味をスタッフ全員が理解するきっかけとなり、「私たちの手で安全で美味しい牛乳を作るんだ!」という自覚の芽生えにもつながりました。

6次産業化への取組み

敷地内の工房では、牧場の搾りたての生乳からチーズやジェラートを作っています。
これらは、市内のレストランなどで販売されています。
藤井牧場一押しの「サブロッション(商品名はル ブロッションをもじったもので、見た目はカマンベールチーズに似ている)」は、ソフトな口当たりとほのかな甘み、後味に優しいミルクの風味が残る味わいとなっています。
※農場HACCP とは、消費者に安全な畜産物を供給するため、食品の衛生管理手法であるHACCP の考え方を採り入れ、農場段階において危害をコントロールする飼養衛生管理の手法です。

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このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196