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【第一線から】土づくりで高品質なてん菜生産 〜北海道恵庭市の中島さん〜

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最終更新日:2013年9月4日

◆寒冷地稲作発祥の地でてん菜を作る

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 北海道新千歳空港から電車で13分、恵庭市でてん菜生産に取り組む中島和彦さんを訪ねました。北海道の中でも比較的温暖な恵庭市は、明治期に北海道内の他地域に先駆けて稲作が始められ、隣接する北広島市とともに「寒冷地稲作の発祥の地」として知られています。
 昭和 60 年代以降、米の需給均衡による転作の強化を受け、ばれいしょ、かぼちゃ、にんじん等の野菜だけでなく、てん菜の栽培も盛んに行われています。
 中島さんの畑も水田から転換されたものです。一般に水田から畑作地に転換すると、その畑は水はけが悪くなります。中島さんは、排水性の改善の取り組みや土壌診断に基づく施肥、堆肥による土作りが評価され、平成 24 年度第2回高品質てん菜出荷共励会(主催:北海道農政部・(社)北海道てん菜協会)で優秀賞を受賞しました。この共励会は、高い生産技術により高品質のてん菜の出荷実績を挙げている生産者を表彰するものです。

◆全道平均を3割上回る単収

中島さんのてん菜畑にて
中島さんのてん菜畑にて
 近年、北海道では天候不順によりてん菜の不作が続いています。寒冷地作物のてん菜にとっては、てん菜が大きく成長する5月から8月上旬は気温の上昇が大切ですが、根中に糖分を蓄える8月中旬以降は昼夜の温度差が必要になります。ところが、昨年は9月以降も厳しい残暑が続き、さらに10月には降雨が多くなったため、高温多湿により褐斑病(葉に病斑が生じ、枯れる病気)が多発するなど悪条件が重なりました。
 そのような中にもかかわらず、中島さんは、10アール当たり収量8092kg と全道平均を3割程度上回る生産量を達成しました。

◆土壌診断を生かし、効率的な施肥を実施

堆肥舎の様子
堆肥舎の様子
 中島さんは、「畑によって土が違うから、てん菜の成長も変わる」と話します。そこで3年に1回農協に土壌診断を依頼し、良い土を作るために不足している成分を把握し、必要な施肥を実施します。これは、過剰な施肥を防ぐとともに、経費節減にもつながります。
 また、7年前から近隣の畑作農家3軒と共同で堆肥舎を建て、近隣の酪農家から出る牛ふんと麦わらの交換を行い、10アール当たり2トンの牛ふん堆肥を施肥する取り組みも行っています。酪農家から牛ふんを運搬し堆肥を作るのは苦労もありますが、牛ふん堆肥を使うことにより窒素肥料の施肥を削減する効果があるそうです。

◆工夫を重ね、排水の悪さを克服

中島和彦さん
中島和彦さん
 さらに、水田から転換した畑に生じる水はけの悪さへの対策には、中島さんが就農した当時から力を注いできました。水はけを改善することにより土壌の通気性が良くなり、土壌中の微生物が活性化する「乾土効果」が現れ、てん菜の生育が良くなります。
 地中の水分を排出するための素焼きの土管を畑に埋設する作業(暗渠"あんきょ"排水)は大変な労力を要するものでしたが、現在は土管より軽量で取り扱いやすいコルゲート管に変え、埋設の間隔を狭くするなど工夫を続けました。
中島さんの作業場。訪れた7月中旬は夏大根の出荷作業が行われていました。
中島さんの作業場。訪れた7月中旬は夏大根の出荷作業が行われていました。
 また、地中のコルゲート管に水が流れやすいように、農地に一定の間隔でナタのような作業機を使って亀裂が入るよう切り込みを入れ、水が通る道筋をつけていく作業を行います。それでも排水がうまくいかない畑には火山地帯で産出される排水性のよい火山礫(かざんれき)を畑に入れるなど、幾重もの取り組みを積み重ねててん菜がよく育つ畑を作り出しています。

◆水害を乗り越えて

中島さん(左)と息子の崇裕さん(右)
 今に至る中島さんの出発点は 21 歳で就農する直前の昭和 56 年に石狩川流域に被害をもたらした大水害でした。当時、中島さんのお父さんが丹精込めた田畑も飲み込まれ、当時を振り返って「せっかく作っても、天候次第で台無しになる怖さを感じた」と話してくださいました。
 今年は約 20 ha の広大な畑で、奥さんと息子さん、パート従業員の方々とともに、てん菜、大根、生食用ばれいしょ、かぼちゃ、アスパラガスを栽培しています。
 「天候に恵まれて、無事に収穫できることが一番の望みです」
 自然の厳しさを知る中島さんのこの言葉がとても印象的でした。

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