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日本の酪農が果たす様々な役割

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最終更新日:2013年11月19日

 飼料価格の高騰や円安により、10月から牛乳に向けられる生乳の価格が1kg当たり5円、引き上げられました。これに伴い牛乳の小売価格の改定も行われました。こうした中、牛乳の値上げに対して消費者や流通業者への理解を求める活動を全国規模で行っている中央酪農会議の資料から、日本の酪農が果たしている様々な役割を簡単に紹介します。    

●食の安定供給に対する貢献

 日本における牛乳乳製品の需要量は、平成24年度で約1172万t(生乳換算)。米の約867万tを大きく上回り、日本の食卓に欠かせない基礎的な食品となっています。国内での生乳生産量は、約761万tで、残りの400万t以上(生乳換算)は、乳製品という形で輸入に頼らざるを得ないのが現状ですが、牛乳に限って言えば、国産100%です。 

●高血圧の予防

 牛乳は、たんぱく質、カルシウム、ビタミン類など栄養バランスが優れています。また最近では「健康づくり」の視点からも牛乳の価値が見直されています。  いまや30歳以上の日本人、2人に1人が高血圧と言われています。牛乳のカルシウムは、魚や野菜よりも吸収力が高いのが特徴です。カルシウムの働きの一つに、塩分に含まれるナトリウムの尿への排せつを促し、血圧上昇作用を抑制することがいわれています。さらに牛乳たんぱく質であるカゼインが分解されてできるペプチドは、血圧を上昇させる酵素の働きを抑制し、高血圧を予防する効果があります。

●メタボの予防

 牛乳を飲むと太ると誤解をされている方も多いようですが、牛乳は、100mlで69キロカロリー。同量の豆腐と比べてもカロリーも脂肪の量もほぼ同じです。
 最近の日本やアメリカなどの研究調査で、牛乳には美容効果、さらには肥満やメタボの予防効果があることが明らかになってきました。20〜60代の男女6548人(非喫煙者)を対象にした研究調査によると、男女ともに牛乳乳製品をよく摂る人ほど、あまり摂らない人と比べ、メタボリック症候群の割合が低いことがわかりました。
 特に女性において、牛乳乳製品の摂取量が最も多いグループは、最も少ないグループと比べると、(1)メタボリック症候群の割合が40%少ない、(2)お腹まわりのサイズが2センチ少ない、(3)肥満度が低い、(4)中性脂肪、善玉コレステロール、血圧が良好などメタボ予防という観点からみると大きな効果がみられました。
グラフ

●国土の保全や里山の美的環境の維持に貢献

 酪農は、牧草を利用することなどにより、山岳地や寒冷地などの不利な条件でも、他の農業と比較して経営が可能であるという特徴があります。農家の高齢化や後継者不足によって耕作を続けられず放棄された農地の活用という事例もあり、酪農は日本の国土の保全と里山の美的環境の維持にも貢献しています。

●教育機能としての貢献

 酪農は、「酪農教育ファーム」として子供たちの教育にも貢献しています。同ファームは、酪農体験を通して、食と命の学びを支援することを目的に、安全・衛生対策等の条件をクリアした牧場と人(酪農家)を認証する仕組みで、25年3月現在、全国301牧場と560人が認証されています。認証牧場では、23年度の酪農体験者が約74万人にのぼり、幼稚園や小学校などの子供から大人まで、広く受け入れを実施しています。

 昨今、様々な食品の値上がりが報じられていますが、牛乳も例外ではありません。毎日牛乳を飲むことは、栄養摂取だけはなく、高血圧やメタボの予防、国土の保全や教育にも役立ちます。こうした価値を認識し、毎日牛乳を飲み続けていただければ幸いです。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196