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中国農業展望報告(2026−2035)と人口ミニセンサスを発表(中国)

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 中国農業農村部は2026年4月20日、例年通り中国農業展望大会を開催し、今後10年間の農畜産業、その生産量、消費量などを展望する「中国農業展望報告(2026−2035)」を発表した(注1)。このうち一人当たり平均食用消費量の算出に使用される総人口に関して、中国国家統計局は5月22日、人口ミニセンサス2025(注2)を公表した。
 中国の人口は政府予想を上回る速さで減少(注3)しており、食料消費の将来見通しにも影響を及ぼしている。消費見通しに着目して、昨年の農業展望報告と今年の主な差異、また、その基本となる人口動態に関するミニセンサスの主な内容を紹介する。

 (注1)昨年の「中国農業展望報告(2025―2034)」については海外情報「中国農業展望大会におけるトウモロコシおよび大豆フォーラム(中国)」(令和7年5月9日)や、「豚肉編」「牛肉編」など畜種別の情報をご参照ください。
 (注2)中国の人口センサスは10年ごとに実施され、直近は2020年であるが、センサス年の5年後には人口1%を抽出調査するミニセンサス(正式名称は「全国1%人口サンプル調査」)が実施される。人口ミニセンサス2025は2052万人(総人口の1.46%)を対象として25年11月1日時点の状況について実施された。
 (注3)前回のセンサス結果を公表した21年5月、国家統計局は公式HPに「第7次全国人口センサス公報解読」と題した北京大学人口研究所所長の談話を掲載し、中国の人口のピークは25年から30年までの間になるとしたが、実際のピークは21年で、22年には人口減少が始まった。

 

1 農業展望報告の昨年と今年の主な差異

(1)消費と生産に関する将来展望の修正

 まず、食糧(注4)について、昨年の「中国農業展望報告(2025―2034)」(以下「農業展望25」という)は、食用だけでなく工業用も含めれば、消費量は緩やかに上昇し、2034年には8億3200万トンに増加するとしたが、今年の「中国農業展望報告(2026―2035)」(以下「農業展望26」という)は、32年に8億4200万トンのピークを迎えた後は緩やかに減少するとした。
 また、今後10年間における、豚肉、牛肉、羊肉および家きん肉の生産量と消費量の変化率について、家きん肉については生産量、消費量とも増加する方向で修正し、牛肉と羊肉については生産量、消費量についていずれも増加傾向を維持しつつも生産量は増加幅を縮小する一方、消費量は増加幅を拡大、豚肉については生産量、消費量とも減少傾向を維持しつつ、ともに減少幅を0.1%引き上げた(表1、表2)。
表1,2
 牛乳・乳製品は見直し幅が最も大きく(注5)、消費量について、農業展望25は34年に7581万トンに達するとしたが、農業展望26は35年に6764万トンに達するとして10.8%下方修正した。生産量についても、農業展望25は34年を5703万トンとしたが、農業展望26は35年に5117万トンになるとして、10.3%下方修正した。 
 
 (注4)食糧とは、穀物、イモ類および豆類を指し、イネ、小麦、トウモロコシ、大豆を含む。
 (注5)「中国農業展望報告」の統計数字のうち牛乳・乳製品の値が最も不確かであることについて、「中国の牛乳・乳製品消費の現状と将来見込み」   (『畜産の情報』2026年3月号)をご参照ください。
 (注6)畜種別の農業展望報告については、以下をご参照ください。
  海外情報「中国農業展望報告(2026−2035)を発表(豚肉編)(中国)
  海外情報「中国農業展望報告(2026−2035)を発表(家きん肉編)(中国)
  海外情報「中国農業展望報告(2026−2035)を発表(牛肉編)(中国)
  海外情報「中国農業展望報告(2026−2035)を発表(牛乳・乳製品編)(中国)

(2)政策誘導の成果

 農業展望報告は、基本的には統計数値の整理、見通しであるものの農業政策の状況が伺える記述もあり、農業展望26では輸出入の調整、特に大豆について政策的誘導が伺えた。具体的には、大規模農作物と呼ばれる作物(大豆、トウモロコシ、小麦、大麦など)の輸入抑制と、生産力の拡大に加え、コストと気象条件から輸出面で優位性がある野菜、果物および水産物の輸出拡大である(注7)
 大豆について、2026年の輸入量は前年比で6.1%減少、35年には26年比で21.5%減の8255万トンにまで減少する見通しとした。
 また、食用植物油について、国民の栄養バランスの改善に関する「油の摂取を減らし、豆の摂取を増やし、乳製品を加えよう」とする政策によって2026年の消費量は前年比で0.2%減少できる(農業展望25の見通しと同じ)とし、35年には輸入量が26年比で28.2%減少する見通しとした。食用植物油のほか、綿花、食用糖についても国内供給能力向上に伴い輸入量が減るため、今後は国際価格が国内価格に与える影響は減るとした。
 
 (注7)野菜の農業展望報告については、以下をご参照ください。
  海外情報「中国農業展望報告(2026−2035)を発表(野菜編)(中国)

(3)今後10年の全体見通し

 農業展望26は、今後10年の見通しについて、需給バランスは長期的に拮抗きっこうしつつ安定し、このうち供給側に掛かる圧力については生産効率向上によっていくらかの緩和が期待できるとした。生産効率の向上によって国産農畜産物の競争力強化で輸入が減るだけでなく、食糧安全保障の観点から輸入先の多元化も進めていることから輸入は一層安定していくともしている。また、肥料などの生産資材費や労働賃金、耕作地賃借料などが上昇するため農畜産物価格は総じて上昇し、野菜、果物、水産物のほか食糧油、畜産物についても品質向上とそれに応じた価格上昇が進むとした。

2 中国の人口動態(2025年11月1日集計時の状況)

 中国の総人口は14億545万人となった。前回のミニセンサス2015からは3196万人増加したものの、24年からは283万人の減少となった。ピークは21年の14億1260万人である。
 なお、農業展望25が一人当たり消費量の計算に用いたのは14億828万人で、農業展望26が用いたのは14億489万人(いずれも国家統計局がサンプル調査の結果推計した値)と考えられる(注8)
 2025年における総人口のうち14歳以下が占める割合と65歳以上が占める割合は、それぞれ15.25%、15.87%となり、高齢者の割合が初めて14歳以下を上回った。前回のミニセンサスと比較すると、総じて、少子化、高齢化に加えて地域格差が拡大した。人口動態における地域格差はこの数年で広く注目されるようになった問題で、直轄市、省、自治区の経済状況や消費能力を表すものとされている。たとえば、一人当たり可処分所得が最も高く、高齢化も進む上海市と、経済発展が遅れている貴州きしゅう省とでは、14歳以下と高齢者の割合がかなり異なっている(前年のミニセンサスの数字で見ると、表3のとおり)。
表3
 同様に1世帯平均構成人員の減少も注目されており、ミニセンサス2025では2.52人と、10年前の3.1人から0.58人減少した。この変化は小売商品販売にも影響しており、例えば中国のスーパーでかつて当たり前だったヨーグルト8個パックは減少し、現在は2個や3個パックが主流となっている。
 他方で、大学レベルの教育を受けた人口は2億7233万人と、前回の1億7093万人から1億人以上増加した。大学生を含む若者はオンライン上のコミュニティで商品情報をやり取りし、それが消費行動に直結することも多い。中国のカップラーメンの売上げは全国の3分の1が大学の購買部であるとする調査結果もあり、大学生を主要な対象とする商品開発の例は少なくない。
 中国政府は「量から質への転換」を政策の基本方針としており、人口についても数から質、すなわち労働力の多さが生み出す利益ではなく、人材の質が生み出す利益を追求するとしている。
 
 (注8)国家統計局は毎年統計公報を公表しており、センサス年、ミニセンサス年以外の年は小規模なサンプル調査結果に基づいて推計された値となっている。農業展望報告が元とした25年の総人口数は26年2月に同局が公表したものであり、今後ミニセンサスの結果に合わせて修正される見込みである。
【調査情報部 令和8年6月30日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9532