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【レポート】中国の鶏肉・鶏肉加工品の消費動向

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最終更新日:2021年3月3日

 中国では、経済発展による生活水準の向上により食肉の消費が増加しています。一人当たりの消費量は従来から豚肉がもっとも多く、家きん肉(鶏肉やアヒル肉など)は豚肉に次ぐ量(年13・6kg/人)で、世界的に見ると、鶏肉の総消費量は米国に次いで2位となっています。そこで今回は、中国の鶏肉や鶏肉加工品の消費動向についてご紹介します。

鶏肉の消費動向

 中国国内で消費されている家きん肉は、ほぼ国産で、総生産量のうち約6割が鶏肉、約4割がアヒル肉やガチョウ肉です(図)。また、鶏肉の中でも、外来種の鶏の肉(以下「白羽鶏肉」という。)が家きん肉全体の約3割にあたり、在来種(以下「黄羽鶏肉」という。)の肉が家きん肉全体の2割弱、残りが引退した採卵鶏(廃鶏)の肉です。白羽鶏肉は日本でも一般的な鶏肉であり、黄羽鶏肉は地鶏肉のようなもので、1羽当たりの肉は少ないですが、比較的長期間、放し飼いなどにより飼養することで、肉の食味や栄養価がよくなるとされています。中国の消費者はこれらを明確に区別しており、白羽鶏肉は部位ごとにカットされた肉を調理して食べることが多いですが、黄羽鶏肉は丸どりのまま調理する傾向があるとされています(写真1、2)。また、家きん肉は伝統的に、しょうゆ煮などに加工して販売されることも多く、鶏足(もみじ)は間食としても人気があります(写真3)。

レポ1-2

ぐらふ

3

2019年は鶏肉の輸入量が急増

 中国では2019年、アフリカ豚熱の流行により豚肉生産量が大幅に減少し、豚肉価格が高騰しました。このため、より安価なたんぱく源である家きん肉の代替需要が増加しました。鶏は飼養期間が短く増産しやすいことから、急激に生産量が増加しましたが、国産だけでは追い付かず、ブラジルやタイなどの主要鶏肉生産国からの輸入も増加しています(表)。量的には、中国全体でみるとわずかですが、それでも世界の鶏肉需要に及ぼす影響は大きく、一時的に鶏肉の国際価格が上昇する事態となりました。 
 なお、世界的に取引されている鶏肉は「白羽鶏肉」です。 

熱帯種

鶏肉加工品の輸出も増加

 一方で、中国は、白羽鶏肉の加工品を日本や欧州などに輸出しています。加熱処理した鶏肉加工品は、中国国内で鳥インフルエンザが発生し、鶏肉の輸出が停止されても、一定の衛生条件を満たせば輸出することができます。また、中国は日本や欧州と比較すると人件費や土地代が安価で生産コストを抑えることができるため、価格の優位性が高く、加工品の輸出量は増えています。近年では、中国でも食の洋風化が進み、輸出用に生産していたチキンカツやサラダチキンなどが中国国内でも消費されるようになってきました(写真4、5)。このため、中国では鶏肉加工品は生産や輸出だけでなく、消費も増加していると言われています。

レポ1-1

今後も中国の鶏肉消費が国際需給に影響を与える可能性

 中国では、鶏肉需要にこたえる形で、鶏肉生産体制を強化してきました。2020年に入り、国内の豚肉生産が回復してきたこともあり、それまで上昇していた鶏肉価格はアフリカ豚熱発生前の水準まで低下しています。しかし、中国が鶏肉を輸入しているブラジルや、中国が鶏肉加工品を輸出している日本、欧州では新型コロナウイルス感染症(COVID?19)が未だに収束していないこと、中国で鶏肉加工品の消費の増加傾向が持続すると考えられることから、今後も中国が鶏肉の国際需給に大きな影響を及ぼす可能性があると考えられます。
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