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【震災からの復興】 産地の再生をめざして(宮城県)

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最終更新日:2012年7月25日

震災から1年余りが経過しましたが、津波被害を受けた沿岸部の農地は、瓦礫の撤去がほとんど手つかずのまま放置されています。復旧した農地においても区画整理や集約化等の利用調整を図るため休耕地となっているところもあります。こうした状況を鑑みると、被災地域における農業の復興は、しばらく時間がかかりそうです。
しかし、復興の芽は着実に育ち始めています。

そこで、今回、被災しながらも仙台平野で懸命に再建に取り組む生産者の姿と、そのような生産者を販売で支える生協の取り組みを紹介いたします。

復興支援の灯を消さないためにも、あらためて被災地に心を寄せるきっかけになれば幸いです。

若い世代に希望を

復興の計画を生き生きと話してくださった森さん
復興の計画を生き生きと話してくださった森さん
仙台空港に隣接する岩沼市できゅうり生産一筋に歩んできた森康彦さん(63 歳)は今、田んぼの名残が残る農地で、チンゲン菜づくりに汗を流しています。

昨年の3月11日に発生した津波により、一帯の農地は壊滅的な被害にあいました。住む場所も奪われ集落の農家のほとんどは、この震災を機に離農していきましたが、森さんは地域の再建・復興のため農業を続けていくことを決意しました。近くに土地を借り、市場関係者等の支援者を受け、チンゲン菜づくりを始めたのです。

還暦を過ぎて一からの出直し、そして仮設住宅での慣れない生活。体力的に大変厳しい状況でしたが、働けることの喜びや、野菜づくりへの一途な信念と情熱が森さんの心を支えています。
森さんが生産するチンゲン菜
森さんが生産するチンゲン菜
取材当日、まさに手塩にかけて育てたチンゲン菜が初出荷の時を迎えていました。

立派に青々と育ったチンゲン菜を前に、「チンゲン菜農家一年生だけども、これまでのノウハウを生かして美味しく仕上がったと思っています。今は出荷が待ち遠しくて仕方がない。」と、期待をにじませた森さん。そして、「これが上手くいけば、きゅうり生産を再開すっぺ!と思っています。再建するからには法人化も視野に入れ、雇用の創出や後継者育成を通じて、地域に貢献しなければならないと思っています。」と、数年先まで見通した計画も力強く語ってくれました。

しかし、新たな土地、新たな品目での再出発は試行錯誤の連続だといいます。また、土壌や野菜への放射能汚染を警戒して生産資材を県外から購入するなど、放射能対策に神経をとがらせる日々を送っているようです。
田んぼだった農地に建てた作業小屋とビニールハウス
田んぼだった農地に建てた作業小屋とビニールハウス
チンゲン菜の初出荷を控えた今の心境を最後に訊いてみました。

「支援してくれた皆さんに恩を返すつもりで再建に励んできましたが、農家としてはやっぱり美味しい≠ニ言ってもらえることが一番の励みになります。定量の野菜を毎日出荷することが当面の目標ですが、もっとたくさん勉強して、美味しい野菜を届けるため工夫や努力を重ねていきたいです。こういう時だからこそ、農業に希望をもってもらえるような姿を地域の若い世代に見せていきたいです。」

静かで淡々とした語り口でしたが、新たな挑戦に胸躍らせる熱い思いが、しっかりと伝わってきました。

買い支えるという支援

みやぎ生協の産直品ブランド「めぐみ野」野菜
みやぎ生協の産直品ブランド「めぐみ野」野菜
食品小売業の宮城県内売上高でトップシェア(約1003億円(2011年度))を誇るみやぎ生活協同組合(以下「みやぎ生協」)は、放射能の風評被害にあえぐ産地を支えています。

みやぎ生協では、厳しい基準によって選び抜いた県内産の農産物を数多く取り揃えています。産地にこだわってきたが故に原発事故後は、一部の産地について利用者が購入を控える動きも見られました。しかし、震災前と変わらず店頭の目立つ場所に農産物を並べ続けているといいます。
みやぎ生協と取引をしている生産者のトマト栽培
みやぎ生協と取引をしている生産者のトマト栽培
「店頭に並べないと、私たちがその商品の安全性に疑いをもっているのではないかと思われ、かえって組合員様に不安を与えてしまいます。産地で調べ、自治体で調べ、私たちも調べ、安全が確認できたものだけを店頭に並べています。それでも不安を口にし、産地の変更を望まれる方もいます。そうした方々には学習会や積極的な情報発信等を通じて、産地を変更しないことへの理解を求めています。」と話す、みやぎ生協産直推進本部事務局長の沼沢美知雄さん(57歳)。その想いは、利用者にも理解されつつあります。
「めぐみ野」のイメージキャラクター
「めぐみ野」のイメージキャラクター
「私たちは「顔とくらしの見える産直」を目指し、生産者と消費者を結ぶ取り組みを長年行ってきました。この取り組みに協力している生産者との信頼関係を無にしてまで売れる商品を売ろうとは思いません。取引を維持することが何よりの支援であると考えていますし、地域の復興につながるものと信じています。」

沼沢さんの地域の食を守り、地域そのものを守ろうとする使命感と、県内産の農産物に対する愛着の深さがひしひしと感じられました。

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