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【巻頭言】求められる農業の発信力

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最終更新日:2013年8月6日

NHK解説主幹 合瀬 宏毅(おうせ ひろき)

会瀬氏
・1959年 佐賀県生まれ 
・山口大学経済学部卒
・NHK入局後、鹿児島放送局、名古屋放送局などで勤務
・NHKスペシャル、モーニングワイドなどの制作を担当し、経済番組のプロデューサーを経て、平成21年より解説主幹
・「食料・第一次産業」を中心とする経済問題担当。
・農政ジャーナリストの会会長、食料・農業・農村政策審議会委員
 最近注目したニュースが二つあった。一つは全国のご当地グルメが集まるB1グランプリに二日間で61万人が押しかけたと言うもの。もう一つは家庭でのコメの消費がパンに追い抜かれたというものだ。
 まずはB1グランプリから。B1グランプリは富士宮焼きそばや厚木シロコロホルモンなど地元で愛されてきた食べ物が一堂に集まり、味を競うイベントだ。今年7回目の開催で、今回は青森の八戸せんべい汁がグランプリを獲得した。鳥や魚介類でじっくりと出汁(だし)をとり、たっぷりとうま味を吸い込んだ具のせんべいが美味で、なんとも新鮮な食感だ。

 集まった料理は、いずれも地元で愛されてきた食べ物だから不味いはずはなく、B級と言うぐらいだから値段も安い。私も以前、取材したことがあるが、会場は大勢の人でごった返し、ゆっくりと味を楽しむどころではなかった。しかしどの料理も地域ならではの趣があり、なるほどと思わせる美味しさだった。
 会場で話題になると、その味を目当てに全国から客が押しかけるというから、地元の経済効果も大変な額になる。今回もほとんどの新聞やテレビがこの話題を取り上げていたので、八戸を訪れる観光客はさぞかし増えるだろう。青森県には黒石つゆやきそばもあるので、そちらもぜひ一緒に楽しんで欲しい。

 さて、もう一つのニュース。総務省の家計調査が2011年のおコメの消費がパンに追い越されたことを明らかにしたというものだが、こちらの扱いは極めて小さかった。
 データを調べてみると、二人以上の世帯におけるおコメの消費量はこの10年間に3分の2になり、価格も下がっているため、その結果消費額が大きく減ることになったのだという。パンの消費額がさほど伸びているわけではないから、おコメを食べる家庭が少なくなったということなのだろう。  
 コメの消費低迷は食卓だけではなく、日本農業の将来に直結する問題で、農業現場にとっては大きな意味を持つ。にも拘わらず扱いは小さく、おコメにとっては寂しい主役交代となった。
 我々メディアの人間は、ニュースが近い、遠いという言い方をする。視聴者にとって身近なニュースは近く、そうでないニュースは遠いという意味で、遠いニュースはどうしても扱いが小さくなりがちだ。コメの消費減少は以前からある流れだから、ことさら取り上げる意味は無いと判断したのかもしれない。関係者の反応も鈍く、この件について農業団体などからもコメントが出ることはなかった。しかし、主食であるおコメのニュースが遠くては困る。コメの消費減少は、苦しい農業現場を知ってもらういいチャンスでもあり、農業現場としてももっと積極的にアピールすべきだったと思う。もちろんメディアの勉強不足もあり、私もあちこちでお叱りをうけることも多い。しかし取り上げられずに結果的に困るのは生産者自身なのだ。
 
 大会の度に大変な注目を浴びるB1グランプリも、常にイベントやホームページを使って情報を出し続けている。企業だけでなく、行政も政党もメディアに取り上げてもらうために相当の取り組みを行っている。
 今回の取り扱いの差は、メディアの勉強不足だけでなく、そうした取り組みの差もあるかもしれない。そうした時代なのだ。

 そこで農畜産業振興機構である。我々メディアから見ると、国内外の情報を持つ機構は情報の宝庫である。私事で恐縮だが、解説委員は何人ものスタッフを抱えていて、集めてきたデータなどを材料に話をするのだ。と考えている人は多い。しかし現実は全く逆で、解説委員自身が何から何まで自分で用意しなければならない。だから急に事件が起きたときは大変だ。解説番組の長いのは10分と、字数にして3000字である。それを短時間で仕上げなければならないから、これはかなりキツイ。
 それでも何とかこなしていられるのは、日頃からどこにどんな情報があるかをつかんでいるためだ。問題が起こったときに、あれはあそこ、これはここと瞬時に動かなければとても間に合わない。農畜産業振興機構には、野菜の小売価格や牛肉の取引価格など消費者に近いデータがあり、海外情報もきめ細かくて分かりやすい。数字の意味を教えてくれるスタッフもいる。つまりメディアを引きつけるデータが揃っているのだ。
 行政やその関連団体はおしなべて、情報の出し方があまり上手くない。自分をアピールしない方が奥ゆかしいという考え方もあるが、そういう状況ではないだろう。国内や世界から集めたせっかくの資料、使わなければもったいない。農業に関心を向けさせるカギは、現場からの発信力にある。集めたデータをもとに積極的に日本農業の発信源となって欲しい
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196



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