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【レポート】EUのばれいしょでん粉産業と農業政策

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最終更新日:2016年7月14日

扇風機
 EUのばれいしょでん粉は、世界のばれいしょでん粉輸出量の大半を占め、日本のばれいしょでん粉輸入量のほぼ全量であることから、国内外の関係者の関心の高い品目となっています。
 一方、EUでは、現在、農業政策の大きな変革期を迎えており、ばれいしょでん粉産業にも、さまざまな影響が表れています。本稿では、EUのばれいしょでん粉産業と農業政策の関連について、主なばれいしょでん粉生産国である、ドイツ、フランス、デンマークの例を交えご紹介します。

EUのばれいしょでん粉産業

推移表
 EUのでん粉生産量のうち、ばれいしょでん粉は、コーンスターチ、小麦でん粉に次ぐ生産量となっています。EUでは、過去5年、コーンスターチや小麦でん粉の生産量は増加している一方、ばれいしょでん粉は横ばい傾向で推移しています(図1)。これは、でん粉製造工程で発生する副産物を、飼料などに利用できないため、コーンスターチや小麦でん粉に比べ、収益性に劣ることが影響していると考えられます。

EUの共通農業政策

 EUには、「共通農業政策」と呼ばれる、加盟国全体で行われる農業政策が存在します。これまでの共通農業政策では、でん粉原料用ばれいしょを生産する農家や、ばれいしょでん粉を製造する企業は、生産量に一定の制限がかけられる一方、補助金などの支援を受けてきました。しかし、2012年7月以降、共通農業政策の変更により、規制は大幅に緩和され、生産者や製造企業は、より自由な市場競争の下で、生産・販売することが求められるようになりました。

政策変更を受けたばれいしょでん粉産業の動向

 それでは、EUのばれいしょでん粉産業は、共通農業政策の変更により、どのような影響を受けているのか、主な生産国の動向を見ていきたいと思います。
ドイツ
(1) ドイツ
 EU最大のばれいしょでん粉生産国であるドイツでは、でん粉原料用ばれいしょの生産量は、長期的に減少傾向で推移していました(図2)。これは、バイオガス原料として生産すると助成が受けられるとうもろこしへと、作付け品目の切り換えが進んだためです。そのような中、共通農業政策の変更は、でん粉原料用ばれいしょ生産の減少傾向に、拍車をかけることとなりました。業界団体は、今後も縮小傾向は進むとみており、懸念を強めています。
フランス
(2) フランス
 フランスのでん粉原料用ばれいしょの生産量も、フライドポテト向けなどの食用ばれいしょとの競合から、減少傾向で推移しています(図3)。そして、共通農業政策の変更がこの傾向を後押ししています。そのため、フランスでは、でん粉原料用ばれいしょ生産者へ独自の助成金を支給することで、減少に歯止めをかけようとしています。
デンマーク
(3) デンマーク
 デンマークでは、ドイツやフランスと異なり、近年のでん粉原料用ばれいしょの生産量は、横ばい傾向で推移しています(図4)。デンマークでは、大手でん粉製造企業による、工場設備や商品開発への積極的な投資が、ばれいしょでん粉産業を支えています。デンマークのでん粉原料用ばれいしょの生産地域では、土壌条件などから他の作物の生産は困難です。業界関係者は、共通農業政策の変更により、ばれいしょでん粉の市場は拡大するとみており、競争が活発化することは、むしろ新たなビジネスチャンスにつながると捉えています。
 EUでは、共通農業政策の変更によるばれいしょでん粉産業への影響は、国により異なっています。ドイツやフランスでは、産業縮小が懸念される一方、デンマークでは、むしろ好機と捉えられています。しかしながら、いずれの国でも共通していることは、でん粉原料用ばれいしょは、輪作(同じ畑に複数の作物を順繰りに作付ける)体系において重要な位置付けにあるということです。自由化の流れは避けられないことから、でん粉原料用ばれいしょの生産者とでん粉製造企業が一体となり、ばれいしょの生産性向上やでん粉製造工場への投資、商品開発などを通じた効率化や販売力の強化が求められています。

【参考】 月報『砂糖類・でん粉情報』2016年3月号「CAP改革後のばれいしょでん粉主要生産国の動向〜大きな変革期を迎えたEU〜」  

 https://www.alic.go.jp/joho-d/joho08_000591.html

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