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【トップインタビュー】美味しく、楽しい焼肉料理で豊かな食生活をお客様に〜焼肉は日本で育った食文化〜

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最終更新日:2015年7月1日

事業協同組合 全国焼肉協会 名誉会長(株式会社叙々苑 代表取締役) 新井泰道 氏に聞く

自分好みの焼き加減で、焼き上がった肉にタレを付けて食べる焼肉は、日本の食文化の中で育った独自のもので、テーブルを囲む人に自然とコミュニケーションを生み出す食べ物です。
そんな焼肉業界の振興に取り組んでいる事業協同組合 全国焼肉協会の新井泰道 名誉会長にお話を伺いました。

日本の焼肉は、いつ頃から食べられていたのですか。また焼肉のルーツは韓国ですか。

叙々苑
今日の焼肉店の原型ができたのは戦後間もなくのことで、約70年の歴史です。その後東京オリンピックや高度成長で拍車がかかり、バブルで景気がよくなった頃に焼肉店がどんどん増えました。
焼肉のルーツは、生れは韓国、育ちは日本ということじゃないですかね。例えば、日本のラーメンはどこから来たのかと聞かれたら、生れは中国でしょうけれども、今はもう日本の料理でしょ。カレーもインドが起源で日本の国民食になっています。
焼肉も同じように、日本で独自に発展した食文化だと思います。

「日本で独自に発展した」とは、どのようなことですか。

もともと韓国の焼肉は、お肉を前日からタレに漬け込んでおくものでした。ところが、長く漬け込んだら色が黒っぽく古い肉に見えてしまいますから、日本人は嫌いますね。
ですから日本の焼肉は、オーダーを受けてから、その場でタレをからめて出します。そのため、本来の肉の色のまま提供されます。
日本料理と同じで、焼肉も日本人はまず目で味わうわけです。これは日本で発展した焼肉文化だと思います。
それともう一つ、韓国では昔は付けダレというものが無かったんですよ。肉を焼いて、キムチかなんかをくるんで食べたりします。
焼いた肉にタレを付けて食べるのは日本式です。火傷を防ぐため熱い肉をいったん冷ましたり、味の調節を図るというのもあります。すき焼や水炊きもそうですが、日本人はタレを付けて食べるのが好きみたいですね。
焼肉もまさに、そういう日本の食文化から出てきたのではないかと思います。
私は「この料理は何料理」って言った場合、どこの国の料理かを定義付けるのは、油だと思います。韓国料理はゴマ油、日本はサラダ油、イタリア料理はオリーブ油、欧米料理はバター、中華料理はラードなんですよ。皆さんご存知の韓国料理のナムルにはゴマ油が入っているのですが、これをもしもオリーブ油で作ったとしたらイタリア料理、バターで作ったら欧米料理になるという、そういう話です。

全国焼肉協会では、どのような活動をされているのですか。また、8月29日は焼肉の日ということですが、どのような取り組みをされていますか。

全国焼肉協会は、前身の全国焼肉店経営者協会から合わせて23年ほどですが、料理勉強会や交流会などの開催を通じ、会員が切磋琢磨する環境を提供してきました。
設立までは焼肉店同士の交流が少なく、どの店も見よう見まねとか親の代からとかでやってきていたんですけれども、果たしてこれで正しいのか暗中模索の状態でした。それが勉強会などを経て「あの盛り付けいいな」といった料理への向上心が生まれ、焼肉の奥深さをお互いが理解するようになりました。

また、全国焼肉協会では、BSE問題や牛肉偽装事件などを教訓に、消費者の皆様に安全な食の提供を目指しさまざまな取り組みを行っています。その他、ボランティア活動として毎年加盟店から福祉施設へのお肉の提供を実施しています。また、焼く(8月) 肉(29日)でイメージしてもらおうと、8月
29日を「ヤキニクの日」としました。
協会ではポスターを作成したり、各店舗でくじ引きのイベントを行ったりして認知度アップに努めています。土用の丑の日にうなぎを食べるように、皆様が「焼肉の日だ!」とイメージしていただき、焼肉食べたいなと思っていただければと思っています。

総務省の家計調査では肉類の消費額が10年で15%増というデータもあり、焼肉業界にとっても追風になっていると思いますが、最近の焼肉業界の売り上げはいかがですか。

焼肉業界の売上げは、2008年のリーマンショックの影響で4年間ほど落ち込んだものの、その後は順調に回復しています。
肉類の消費が伸びているのは、肉が好きな方が多い証しだと思いますから、懐具合が良くなれば、焼肉を食べたいという人は増えるのではないかと思います。焼肉は回転寿司など他の外食と比べて、やはりお客様単価が高いので、景気が落ち込むと予算的な要因から月に1回行っていたのが、2ヵ月に1回というように回数が減ってしまいます。
しかし最近は景気の回復とともに、焼肉を召しあがる方が増えているように感じます。
焼肉店は全国で約2万店ですが、私はこの店舗数は増えこそすれ、減ることは無いと思います。なぜなら、焼肉は非常に身近なもので、老若男女問わず、一度食べたお客様はきっと美味しいと言ってくださいます。
焼肉のタレは日本人によく合う砂糖醤油味なんです。日本人の好きなすき焼も魚の煮付けも砂糖醤油味でしょ。日本料理は、出汁に醤油に砂糖が基本なんですよ。焼肉は、ベースにその味付けがありますから、日本人にぴったり合う味なんだろうと思っています。

近年、メニューが豊富になったように感じますが、お客様の要望も多様化しているのですか。それらの要望に対して、お肉の提供方法や食べ方など工夫していることはありますか。

焼肉のメニューは、昔はロース、カルビ、ミノ、レバーくらいでしたが、お客様の要望の多様化に合わせ、昔は見向きもされなかった部位からタン塩、ハラミ、ホルモンなど数々の部位を発掘し、今では何十種類にも増え、海鮮焼き物まで幅広く提供しています。

ちなみに、タン塩焼は弊社から始まったんです。今から39年前に肉屋さんに何か良い新商品は無いかなって相談すると「マスター、タン使いなよ」と勧められたんです。「タンは、市場で余っている。みんな無理して何かと抱合せて、持っていかされている。安く持ってくるからやりなよ」と。
当時は、まだ塩焼きというメニューが無かった時代です。それで仕事が終わって塩を振りかけて食べてみると「これ旨いよ」となってメニューに出したんです。
私がマスターで店に出ていた時、新しいメニューだからと女性のお客様にお出ししたんですけど、「醤油ダレは合わないよ」って言われたんですね。そしたら、その方が「じゃあマスター、私、レモン好きだから、レモン持ってきて」、すると「マスター、レモン合うわよ。これをタレにしたら?」となった訳です。これがタン塩焼のはしりです。
また、最近のお客様は健康志向からか、焼肉に合わせてサラダの注文も多く、お客様が積極的に野菜を摂ろうという意識を感じるようになりました。ですから、美味しいサラダを安定して提供できるよう、野菜農家とも契約して国産の野菜を提供しています。

名誉会長は料理人でもあるわけですが、国産の農畜産物についてどの様に感じておられますか。

国産牛、特に和牛(注)はマグロでいえばトロのようなもので、柔らかく脂ものって美味しいですね。豪州産は、日本人の好みに合うよう牧草肥育から穀物肥育にするなどの改良がされていますが、米国産も豪州産も、国産の牛肉にはまだまだ追いついていないと感じています。

焼肉は、付けダレ等の工夫で美味しく食べられる料理で、タレの味付けやお皿への盛り付けなどが、板前さんたちの腕の見せ所でもあります。お歳を召した方など少量でも美味しいものを食べたいという方は、やはり和牛がお勧めで、肉本来の味が断然美味しいです。
弊社では、一部のメニューでは輸入牛肉や国産牛を使用していますが、基本的には和牛を使用しています。主にA5ランクのものを銘柄は問わず使用しています。

食材を供給する日本の農業や日本の農畜産物について、感じることがありましたら教えて下さい。

国内の生産者の方は、大変なご苦労だと思いますが、やはり美味しい肉を継続して生産してもらいたいと思います。国産の肉がなくなると、美味しいものを食べたいというお客様も困るし、我々も美味しいお肉を提供できなくなるので、是非、国内の生産者には生産を継続してもらいたいし、これから
も応援していきたい。
国産の肉はマグロで言えばトロのような存在で、魚と比べて肉の価格は安いと感じています。高級な寿司屋では、トロ一貫2千円ですよ。肉は高いといっても、まだそこまでいっていないですよ。本当は、もう少し値段を高く仕入れてあげたいくらいだが、そうするとお客様の負担も増えてしまうので、国からの支援も継続していただき、農家の方が潤うような政策をとっていただきたいと思います。

全国焼肉協会や焼肉業界として、今後発展していくための課題などあれば教えてください。

安全・安心な食の提供に向け、引き続き牛肉トレーサビリティや衛生対策については、業界を挙げて積極的に取り組んでいきたいと考えています。今までお話ししてきたように、焼肉って、楽しくて美味し
いと思っていただいている方も多いのかなと思います。テーブルで肉を焼いて食べるので、みんなで肉をつつき合うことで会話も弾みますし、自分好みの焼き加減で食べることができるのも焼肉の魅力じゃないでしょうか。
このように日本で独自に発展した焼肉文化を、広く世界中に普及させ、「YAKINIKU」が世界の共通語となるよう、さらに努力していきたいと思っています。
(注)「国産牛」と「和牛」について
「国産牛」とは、日本国内での飼育期間が他の地域よりも長い牛のことです。
一方、「和牛」と表示できる牛は4種類(黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種)の限られた品種とその交配種で、日本国内で出生し生育されたものに限られています。
<参考>

事業協同組合 全国焼肉協会 名誉会長 新井 泰道氏

叙々苑 プロフィール
昭和17年 神奈川県横須賀市生まれ。
中学卒業後、叔母の勧めで東京・新宿の焼肉店に入店。
さらに東京・神田の焼肉店に13年勤めた後、昭和47年に東京・神楽坂で独立。
昭和51年 六本木で「叙々苑」1号店を開業(現在57店舗を展開)
平成4年10月  全国焼肉店経営者協会(現協会の前組織)設立とともに副会長就任。
平成10年5月  事業協同組合全国焼肉協会設立とともに副会長に就任。
平成15年5月  事業協同組合全国焼肉協会会長に就任(6期12年務める)。
平成27年5月 事業協同組合全国焼肉協会名誉会長に就任。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196



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