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豚肉生産と農家への支援について

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最終更新日:2012年10月2日

 豚肉は、年間一当たり12キログラム(牛肉は同6キログラム、鶏肉は同11キログラム)と食肉の中で最も多く消費されるなど、私たちの食生活にとって欠かせない食品です。そのおよそ半分が家庭で消費され、残りはハム・ソーセージなどの加工品や外食です。

 加工品や外食部門では、米国、カナダなどからの輸入豚肉も多く使用されており、1年間に流通する豚肉約170万トンのうち半分弱を輸入品が占めます。

 今回は、私達の食卓を彩る豚肉となる肉豚のライフサイクル、肉豚の飼料のほか、養豚農家に対する当機構の支援についてご紹介します。

出荷までの約7カ月

 母豚は、1年に約2回(牛は同1回)の分娩が可能で、1回当たり平均10頭の子豚(牛は同1頭)を産みます。子豚は、出生から約1カ月すると離乳され、2カ月の育成期を経て、およそ4カ月をかけて配合飼料を給餌し、100〜110キログラムまで肥育されます。
 その後、食肉市場や食肉センターでと畜・処理され、卸問屋を経て、小売店の店頭に精肉として並びます。
豚の肥育サイクル

コストの6割は飼料費

 畜産経営において生産費に占める飼料費の割合は高く、肥育豚の場合、生産費に占める飼料費の割合は約6割に及びます。配合飼料は原料の大部分を米国など海外からの輸入に依存しているため、日本で家畜を飼養するには、多くの輸入飼料穀物が必要とされます。

 (問)配合飼料とは?
 (答)家畜の種類、成育段階、飼養目的に合せて、米国からのトウモロコシやミネラルなどを調合して作られた家畜の飼料です。 
飼料稲
 飼料穀物価格の目安となるトウモロコシのシカゴ相場は、近年世界的な需要の高まりに加えて、投機資金の流入、エタノール需要などから、高値で推移しており、国内の飼料価格にも影響するなど、養豚経営のひっ迫要因の一つとなっています。
 また、今年は米国の干ばつによる同相場への影響が懸念されています。そのため、養豚農家の一部では、飼料費の低減や飼料自給率の向上のため、構畜連携や食品残さを使用したエコフィードの活用といった取組が進められています。

(問)耕畜連携とは?
(答)畜産農家と米や野菜を生産する耕種農家が協力し、飼料自給率の向上や資源循環型農業を推進するための取組です。畜産農家の堆肥を耕種農家の農地に還元し、堆肥の利用を促進したり、耕作放棄地や休耕田で飼料用稲(エサ米)を生産したりする取組が推進されています。 
(問)エコフィードとは?
(答)食品の製造過程で得られる副産物や加工くず、食品として製造された後、利用されなかったもの等を利用して、加工・処理された家畜の飼料です。 

養豚経営の安定を

 豚肉価格は、出荷頭数の増減を受けて、春から夏に高くなり、秋から冬にかけて安くなるという季節変動があります。このような価格の変動を踏まえて、年間の所得減少分を補てんし、養豚経営の安定と豚肉の安定供給に資することを目的として、当機構では「養豚経営安定対策事業」を実施しています。

 この事業は、豚肉平均価格が保証基準価格を下回った場合に、生産者の拠出と国の助成により積み立てた資金から、その差額の8割を補てん金として農家に交付します。

 平成23年度からは、機構が養豚農家に補てん金を直接交付する方式で実施しています。

 まだまだ、残暑が厳しいですが、豚肉には炭水化物の代謝を助けてエネルギーを作り、乳酸の代謝を促進したりするビタミンB1などの栄養が豊富に含まれています。豚肉料理を積極的に召し上がってはいかがでしょうか。


(全国地域婦人団体連絡協議会「全地婦連」(平成24年9月号)に掲載)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196